この記事では、「ご指摘」と「ご指導」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
ご指摘とご指導の違い
「ご指摘」は、「指摘」に丁寧の意や敬意を表す「御」をつけた言葉です。
「指摘」には、大切なところ、注意すべきこと、欠点、誤りなどを具体的に取り上げて指し示すことという意味があります。
「ご」をつけて敬意を表しているので、「ご指導」は目上の人などに大切なところや誤りなどを具体的に取り上げて指し示してもらうことという意味になります。
「ご指導」は、「指導」に丁寧の意や敬意を表す「御」をつけた言葉です。
「指導」には、ある実現を目指す事柄や方向に向かって、それを達成できるように教え導くことという意味があります。
「ご」をつけて敬意を表しているので、「ご指導」は目上の人などに教え導いてもらうことという意味になります。
「ご指摘」の場合は、大切なところや誤りなどを具体的に上げて示すだけで、目的に向かって導きはしません。
それに対し、「ご指導」は導きがあります。
ご指摘とご指導の使い方の違い
どちらの言葉も丁寧の意や敬意を表す「ご」をつけているので、目上の人などに使う言葉です。
また、どちらの言葉も「ご指摘ください」「ご指導ください」などお願いの意味で使うことがあります。
大切なところ、注意すべきこと、欠点などを教えて欲しいときは「ご指摘」を使います。
導きは要らないという場合です。
教え導いて欲しいときには「ご指導」を使います。
ご指摘とご指導の英語表記の違い
「指摘する」と動詞の場合は英語で“point out”と表記をします。
「指摘」と名詞の場合は“pointing out”です。
「指導する」と動詞の場合は英語で“lead”や“guide”と表記をします。
「指導」と名詞の場合は“guidance”や“coaching”です。
“coaching”は競技などを「指導」する意味があります。
ご指摘の意味
「ご指摘」は、「指摘」に丁寧の意や敬意を表す「ご」をつけた言葉で、大切なこと、注意すべきこと、欠点、誤りなどを具体的に指し示してもらうという意味があります。
たとえば、Aさんに寝癖がついていることをBさんが発見しました。
BさんがAさんに対して「寝癖がついているよ」というのが「指摘」です。
もしもAさんにとってBさんが目上の人なら、AさんはBさんから「ご指摘」してもらったことになります。
ご指摘の使い方
「指摘」をする側ではなく、「指摘」をしてもらった側が使う言葉で、かつ「指摘」する相手が自分よりも目上の人や敬意を表すべき存在の場合に使用をします。
「指摘」する側が「ご指摘します」とはいいません。
「ご」は丁寧の意や敬意を表す言葉で、敬意を表すべき存在に対して、欠点や誤りなどを示すことは失礼にあたります。
ご指摘を使った例文
・『ご指摘くださいますか』
・『ご指摘ありがとうございます』
・『ご指摘をありがたく思います』
・『ご指摘という言葉はビジネスシーンでよく使われる』
・『ご指摘のおかげでミスが減りました』
ご指摘の類語
「指摘」の類語は「意見」なので、「ご指摘」の類語は「ご意見」になります。
ご指摘の対義語
「指摘」しないでおくことが対義語になり、「指摘」の対義語に近い言葉が「控える」です。
しかし、「ご控え」というと順番を待ってもらう意味や度を越さないようにしてもらう意味になり、「ご指摘」の対義語とはなりません。
そのため「ご指摘」の対義語はありません。
ご指導の意味
「ご指導」は、「指導」に丁寧の意や敬意を表す「ご」をつけた言葉で、ある目的や方向に向かって教え導いてもらうことを意味します。
大学のゼミでは、ある目的が存在します。
その目的を達成したいところですが、ゼミに入ったばかりの生徒にとっては、どのようにすれば目的を達成できるかわかりません。
このような生徒に対して、教官がいろいろと助言をしたり、教えたりします。
これは、教官側からすれば生徒を「指導」することになり、生徒側からすれば教官から「ご指導」してもらったことになります。
ご指導の使い方
丁寧の意や敬意を表す「ご」がついているので、「指導」する側ではなく、「指導」してもらう側が使う言葉です。
そして、「指導」してくれる相手は、される側よりも目上の人や敬意を表すべき人です。
ある目的があり、それを達成するために教え導いて欲しいとき、教え導いてもらったときに使用をします。
ご指導を使った例文
・『ご指導をお願いできますか』
・『ご指導ありがとうございます』
・『剣道のご指導をお願いします』
・『ご指導していただいたようにやってみます』
・『ありがたいご指導です』
ご指導の類語
「指導」の類語は「手ほどき」「教授」です。
「ご手ほどき」とはいいませんが、「ご教授」とはいいます。
そのため、類語は「ご教授」になります。
ご指導の対義語
「指導」の対義語は何もしないことを意味する言葉になり、「放任」がそれにあたります。
しかし、「ご放任」とはいわないので、「ご指導」の対義語はありません。
まとめ
「ご指摘」は欠点などを具体的に上げて示してもらうことです。
「ご指導」は欠点などを上げて示してもらうかは問わず、教え導いてもらうことです。
意味の異なる言葉です。