この記事では、「差別」と「偏見」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「差別」と「偏見」の違い
「差別」には、2つの意味があります。
1つめは、あるものとあるものとの間にある同じではない部分のことです。
もう一つは、物事を処理したり、人に対応したりするときに差をつけることです。
「偏見」とは、不公平・不公正、または一方によっている考え方や見方のことです。
「差別」の2つめの意味と「偏見」の意味は似ているように感じますが、同じことを意味しているのではありません。
「差別」の場合は、あるものとあるものとの間にある同じではない部分のことを指しています。
たとえば、男性には選挙権を与えるけれど、女性には選挙権を与えないといったものは、男性と女性との間で扱い方に同じではない部分があります。
「偏見」の場合は、考え方や見方のことです。
同じではない部分のことを意味しているのではなく、偏っていることを意味しています。
たとえば、男は強いものだという考えを持っているとします。
しかし、男性の中にも力のある人もいれば、力のない人もいるので、偏った考え方といえるでしょう。
「差別」と「偏見」の使い方の違い
あるものと別のあるものの間で同じではない部分のことを指して使用したり、同じではない扱い方について使用したりします。
違いについて使う言葉です。
考え方や見方が一方によっていることについて「偏見」を使用します。
考え方や見方について使う言葉です。
「差別」と「偏見」の英語表記の違い
「差別」は英語で“discrimination”と表現をします。
「偏見」は英語で“prejudice”や“bias”と表現をします。
「差別」の意味
「差別」には、2つの意味があります。
1つめは、あるものとあるものとの間にある同じではない部分のことです。
日本には、いくつものフードデリバリーサービスがあります。
いくつもの企業が参入をしていると、競争が激しいことでしょう。
他の企業に負けないようにするためには、他の企業と違うところをアピールする必要がでてきます。
あるフードデリバリーサービスは地域密着型で、チェーン店の登録数は少ないのですが、地元の個人経営の店を中心に扱っています。
そして、配達料が100円以下です。
このようなサービスの特徴は、他のフードデリバリーには見られないものです。
このことは、他のフードデリバリーとこのフードデリバリーの間にある違いということができます。
この違いのことを意味する言葉です。
もう一つの意味は、物事を処理したり、人に対応をしたりするときに、同じではないことです。
黒人が白人とは別の扱いを受けていた時代があります。
たとえば、農場で低賃金で無理に働かせる、投票権を与えないなどです。
白人はこのような扱いを受けていません。
これは、黒人と白人の間で扱い方に違いがあるということができます。
このような扱い方の違いを意味する言葉です。
「差別」の使い方
あるものとあるものとの同じではない部分について使用をします。
あるサービスと別のあるサービス、ある商品と別のあるサービスの違いの意味では、ここが素晴らしいということを強調するために使用されることがあります。
扱い方については、よい意味では使用されていません。
「差別」を使った例文
・『長年差別を受けてきた』
・『差別をすることをよしとしない』
・『差別についてもっとよく考えるべきだ』
・『それは差別しているといえるのではないだろうか』
「差別」の類語
「差異」が類語です。
他のものとは同じではないという意味があります。
「差別」の対義語
「同じ」「同等」が対義語です。
「偏見」の意味
「偏見」とは、不公平だったり、一方に偏ったりしている考え方・見方のことです。
たとえば、若い人はみんな言葉遣いが丁寧ではない、浅はかな考えをしているといった考え方をある人が持っていたとします。
しかし、若い人の中には言葉遣いが丁寧ではない人も丁寧な人もいるし、浅はかな考えの人もよく考えている人もいます。
また、年齢を重ねても言葉遣いが丁寧ではない人はいるし、浅はかな考えをする人もいます。
このように、いろいろな人がいて、ある年代だからこうだと決めつけることはできません。
そうであるにもかかわらず、若いからこうだと決めつけるような考えを持っていれば、その考えは偏っているということができるでしょう。
ハンセン病は、かつて怖い病気だと考えられていました。
ハンセン病にかかった人に近づくと自分も感染してしまうという考えもあったようです。
しかし、現在では怖い病気ではないこと、感染力は弱く、感染しても発病することは稀であることなどがわかっています。
そうであるにもかかわらず、ハンセン病は怖いものだ、かかっている人に近づいてはならないなどの考えを持っているとしたら、その考え方は偏っているといえるでしょう。
このような、一方によっていたり、不公平であったり、何かに集中していたりする考え方や見方のことを意味する言葉です。
「偏見」の使い方
不公平や不公正な考え方や見方について使用をします。
「偏見」があることはよいとされていないので、あまりよい意味では使用されません。
こういったものはなくそうという意味で使用されることもあります。
実際には存在していても、よいものではないとされているため、隠されてしまうこともあります。
「偏見」を使った例文
・『長年偏見に耐える』
・『偏見に満ちたコメントが多数みられた』
・『偏見があることが明るみになった』
・『ある人への偏見がひどい』
「偏見」の類語
「先入観」「先入主」が類語です。
「先入観」や「先入主」には、最初に得た情報によって作られた固定された考え方という意味があります。
「偏見」の対義語
偏っていないという意味で「公平」「公正」が対義語です。
まとめ
似たような事柄に使われる言葉なので、意味は同じように感じますが、2つの言葉が持っている意味はそれぞれ違います。
差についてなのか、考え方・見方についてなのかという点で違いがあります。