この記事では、「嘗て」と「曾て」の違いを分かりやすく説明していきます。
「嘗(かつ)て」とは?
「嘗て」には以下の意味が含まれています。
・「昔」、「以前」、「過去のうちのある一期間」 ・(後ろに打ち消しの語句を伴って)「今まで一度も(ない)」や「全然(ない)」、「全く(ない)」「嘗」という漢字には上記の意味のほか、「なめる」や「味わう」、「試みる」や「試す」、「新しくとれた穀物を神に供える祭」などの意味が含まれています。
漢字の成り立ちを辿ると、「神の気配」と「屋内で祈ること」を表す象形「尚」と「さじ」と「口」を表す象形「旨」が組み合わさってできた「形声文字」であり、「美味しいものを舌に当てる」や「味わう」などの意味を指すようになりました。
「曾(かつ)て」とは?
「曾て」は先述した「嘗て」と同じく、「過去のうちのある一期間」や(後ろに打ち消しの語句を伴って)「今まで一度も(ない)」などの意味を表す言葉です。
「嘗て」と「曾て」が読みも意味も同じ理由ですが、「嘗」は「曾」の旧字体だからです。
「曾」という漢字自体には「かつて」や「これまで」という意味のほか、「重ねる」や「増える」などの意味が含まれています。
他の違いとしては、「嘗」は常用外漢字ですが、「曾」は常用漢字になります(ただし、曾をかつてと読む用法は常用外)。
「嘗て」と「曾て」の違い
「嘗て」と「曾て」はいずれも「昔」や「過去のうちのある一期間」、(後ろに打ち消しの語句を伴って)「今まで一度も(ない)」などの意味を表す言葉です。
「嘗」は「曾」の旧字体であるため、どちらの表記を用いても間違いではありません。
ただし、「嘗」という漢字は常用外漢字であり、「曾」という漢字自体は常用漢字ですが「曾(かつ)て」と読む用法は常用外になります。
したがって、「かつて」は平仮名で表記される場合がほとんどで、「嘗て」や「曾て」と表記される例は少ないと言えます。
まとめ
・「嘗て」と「曾て」はいずれも「昔」や「過去のうちのある一期間」、(後ろに打ち消しの語句を伴って)「今まで一度も(ない)」などの意味を表す言葉です。