この記事では、「帳尻」と「辻褄」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「帳尻」と「辻褄」の違い
「帳尻」とは、「会計を記す帳簿の最後の部分」を意味する言葉です。
「帳尻」に対して「辻褄」は、「裁縫において縫目が合う部分である“辻”+着物の裾の左右が合う部分である“褄”」を示している語源の違いがまずあります。
「辻褄」には「論理的に矛盾がない道理」の意味合いもありますが、「帳尻」だけではその意味はありません。
「帳尻が合う」の慣用句には「辻褄」と類似した「論理的に矛盾なく成り立つ=辻褄が合う」の意味もあります。
「帳尻が合う」には、「金銭的な収支の一致」という「辻褄」にない「帳尻」独自の意味もあります。
「帳尻」と「辻褄」の使い方の違い
「帳尻」は「金銭収支の計算結果・収支を計算する帳簿の最後のところ」といった意味で使われますが、「辻褄」にはそれらの意味合いで使うことはできません。
「辻褄・辻褄が合う」は「論理的に考えて合うべきことがきちんと合う道理」の意味で使われ、「帳尻が合う」にも類似の意味がありますが少しニュアンスが異なっています。
「辻褄が合う」の慣用句は「論理的に矛盾している部分がなくなること」に意味の重点がありますが、「帳尻が合う」は「物事の最初と最後の部分の矛盾がない・バランスが取れる・収支の金額が一致する」に意味の重点が置かれている違いを挙げられます。
「帳尻」と「辻褄」の英語表記の違い
「帳尻」という言葉を、英語を使って表現すると以下になります。
“balance the books”……帳簿の収支を釣り合わせる。
帳尻を合わせる。
“make the accounts balance”……会計(帳簿)の収支のバランスを取る。
帳尻を合わせる。
“The accounts don’t balance.”……会計の収支が釣り合わない。
帳尻が合わない。
「辻褄」という言葉を、英語を用いて表記すると以下になります。
“be consistent with~”……~と論理的な一貫性がある。
~と辻褄が合う。
“be inconsistent with~”……~と論理的な一貫性がない。
~と辻褄が合わない。
“be logical”……論理的で理屈に合っている。
辻褄が合う。
“be illogical”……理屈が通っていなくて辻褄が合わない。
「帳尻」の意味
「帳尻(ちょうじり)」とは、「会計の収支を記録していく帳簿の尻(最後)のところ」を意味しています。
「収入と支出を一つずつ計算していった結果の金額」という意味もあります。
慣用句の「帳尻が合う」は、「収支の計算結果が一致する」や「物事の最初と最後で筋が通っている、道理に従っている」の意味合いを持っています。
「帳尻」の使い方
「帳尻」は、「帳簿の最後にある収支を計算した結果の金額」の意味で使うことができます。
「帳尻」という表現は「帳尻が合う」の慣用句として使用されやすく、「収入と支出の金額の一致」や「物事の流れに矛盾がなく釣り合いが取れている」の意味で使えます。
この語句は「帳尻が合う・帳尻が合わない・帳尻を合わせる(帳尻合わせ)」などの用法で使用できます。
「帳尻」を使った例文
・『会計担当者が帳尻の数字を改ざんして、お金を抜き取っていたことが明らかになりました。』
・『決算書の帳尻の金額が合わなかったことから、粉飾決算を疑われる羽目になったのです。』
・『昨日の夜にあなたが会社にいたのだとしたら、あなたを見たという人の証言と帳尻が合いません。』
・『彼のトークスキルは極めて高いので、どんな話の流れでも最終的に帳尻を合わせることができます。』
・『実際に残っているお金が帳簿上の金額よりも少ないのは、帳尻が合わない困った状況です。』
「帳尻」の類語
「帳尻」の類語には、以下の言葉があります。
・『収支(しゅうし)』……経済上の収入と支出。金銭の収入と支出。
・『辻褄(つじつま)』……物事がそうなるべくしてなるという論理的な整合性・矛盾のない展開。
「帳尻」の対義語
「帳尻」は「帳簿の末尾(収支の計算結果)・論理的に整合する」を意味する言葉であり、国語辞典などに記載される「帳尻」の対義語は存在しません。
「辻褄」の意味
「辻褄(つじつま)」とは、「普通であればそうなるしかない物事の道理・必然的な論理の流れ」を意味しています。
「辻褄」という言葉の語源は、「縫いもので縫目が十字に重なって合う部分の“辻”」と「着物の裾の左右がぴたりと合う部分の“褄”」にあります。
「辻褄」の使い方
「辻褄」は、「ある物事の流れ・変遷(展開)における必然的な道理・理屈」の意味で使えます。
特に「辻褄が合う」で、「物事の流れや結果に矛盾がないさま・なるべくしてそうなる道理に従っていること」の意味合いで使うことができます。
「辻褄」は、「辻褄が合う・辻褄が合わない・辻褄を合わせる」などの使い方を持つ表現です。
「辻褄」を使った例文
・『その容疑者は共犯者と事前に相談して、綿密な辻褄合わせをしているようでした。』
・『嘘をついていれば、いろいろな質問に答えていくうちに辻褄が合わなくなってきます。』
・『彼の話の辻褄が合っていないことから、彼が私に隠れてコソコソと何かしていることは明らかでした。』
・『彼女がその頃から体調を崩していたと推測すると辻褄が合うのです。』
・『二人の意見を丁寧に聞いた後で、二人の周辺で起こった事件の辻褄を考えてみました。』
「辻褄」の類語
「辻褄」の類語には、以下の言葉があります。
・『道理(どうり)』……正論として理屈が通っていること。論理的な正しい物事の道筋。
・『筋道(すじみち)』……思考や物事がたどるべき論理的・倫理的な流れ。
・『ロジック』『ロジカル』……論理・理屈。
必然にそういう風になるしかないという論理に適っていること。
「辻褄」の対義語
「辻褄」は「着物の縫い目や布が合わさる部分から派生して、物事が必然的に落ち着くべきところに落ち着く道理」を意味しているため、「辻褄」の対義語はありません。
まとめ
「帳尻」と「辻褄」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「帳尻」と「辻褄」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の解説をチェックしてみてください。