この記事では、「洗脳」と「マインドコントロール」の違いを分かりやすく説明していきます。
「洗脳」と「マインドコントロール」の違い
「洗脳」と「マインドコントロール」の違いについて紹介します。
「洗脳」と「マインドコントロール」の使い方の違い
「洗脳」は「薬物や暴力行為などを伴い、相手を服従させること」に使われます。
精神を薬物で支配したり、暴力行為により恐怖心を受け付けたりして、行動を変えてしまうことを言います。
「マインドコントロール」は「人の心を自分に共感する様に仕向けさせて自由に操ること」に使われます。
言葉や態度により絶対的な信頼を得て、自分の意のままに行動させることを言います。
「洗脳」と「マインドコントロール」の英語表記の違い
「洗脳」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「brainwash」で、「brain」は「脳」、「wash」は「洗う」で、文字通り「洗脳」という意味です。
名詞、動詞どちらにも使える単語です。
“He was brainwashed by his friend as a follower of the religeon.” (彼は友人により宗教の信者として洗脳された)
2つ目は「indoctrinate」で「教え込む」「吹き込む」=「洗脳する」というニュアンスです。
“He indoctrinated them with his religious beliefs.”
(彼は彼等に自分の信仰している宗教を信じる様に洗脳した)
「マインドコントロール」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「under mind control」で、「マインドコントロール下にある」という意味です。
「マインドコントロール」は和製英語ではなく、海外でも使えます。
“She had been under mind cotrol for long time.”
(彼女は長い間マインドコントロールされていた)
2つ目は「under the influence」で、「影響下にある」=「マインドコントロール下にある」というニュアンスです。
“She is under the influence of a fortune teller.”
(彼女は占い師にマインドコントロールされている)
「洗脳」の意味
「洗脳」は「せんのう」と読みます。
意味は「その人の主義や思想などを根本的に改めさせること」です。
「洗脳」の元の意味は、中国共産党において、人民に対して行った思想改革のことを言います。
ここから転じて、「人の主義や思想、行動様式などを強制的に改変させること」という意味で使われる様になりました。
現在での「洗脳」の意味は、薬物で精神を破壊したり、暴力行為により恐怖心を植え付けたりして、相手の心を支配下に置き、言う通りにさせることを言います。
そのプロセスによっては犯罪行為に当たることもあるのです。
「洗脳」の使い方
「洗脳」は「人の主義や思想、行動様式などを強制的に改めさせること」に使われます。
「洗脳する・した」「洗脳される・された」と動詞を伴って使われたり、「洗脳して」と副詞として使われたりします。
「洗脳」は、日常的にある人が周囲から見て理解できない行動を取った時などに、からかいの意味で使われることもあります。
「洗脳」を使った例文
・『彼女がこんなことをしたのは誰かに洗脳されていたに違いない』
・『来週の予告でヒーローが洗脳されて悪者になるシーンがあった』
・『彼は犯罪集団に洗脳されて下働きをさせられていた様だ』
・『最近の宗教は人を洗脳することもあるので怖い』
・『教授に良い意味で洗脳されてこのゼミに入った学生も大勢いる』
「洗脳」の類語
・「盲信(もうしん)」「理由もわからず、ただひたすらに信じること」という意味です。
「彼女は最近新興宗教を盲信している」などと使われます。
・「刷り込まれる(すりこまれる)」「他からの影響で、考えや思想が根本的に変えられること」という意味です。
「彼は組織以外の人を信用しない様に刷り込まれたらしい」などと使われます。
「洗脳」の対義語
・「正気(しょうき)」「正常で確かな心」という意味です。
「彼女は酔いからさめて正気を取り戻した様だ」などと使われます。
「マインドコントロール」の意味
「マインドコントロール」は和製英語ではなく、ちゃんと通じる英語です。
「マインド」は「心理」、「コントロール」は「操作」という意味、「マインドコントロール」で「心理操作」になります。
意味も言葉通り「人の心理を操作して、自分の思い通りに動かすこと」です。
「洗脳」が薬物や暴力などで人の精神を支配するのに対し、「マインドコントロール」は相手の味方であることを強調して信頼を得て、相手に共感させることにより、人格を変容させることを言います。
この言葉が広まったのは、1994年に日本の元スポーツ選手が、とある新興宗教団体に入信して失踪するという出来事があったからです。
「マインドコントロール」の使い方
「マインドコントロール」は、「人の心理をうまく操作して、自分の思い通りに動かすこと」に使われます。
「マインドコントロールする・した」「マインドコントロールされる・された」と動詞を伴って使われたり、「マインドコントロールして・されて」と副詞として使われたりします。
「マインドコントロール」は「洗脳」とは違い、心の隙間に入り込んでくる方法ですので、「強制的に支配されている」という意識がありません。
自ら喜んで行動していることが多く、一度支配されると抜け出すことが困難です。
「マインドコントロール」を使った例文
・『彼女は宗教活動する様にマインドコントロールされている』
・『有名タレントが宗教のイメージキャラとしてマインドコントロールされてしまった』
・『彼は、自分はマインドコントロールされている訳ではないと言っている』
・『彼女は中々マインドコントロールされていることを認めようとしない』
・『私はやっとマインドコントロールから覚めて現実を理解した』
「マインドコントロール」の類語
・「暗示にかかる(あんじにかかる)」
「誰かに無意識のうちに操られること」という意味です。
「彼はどうしてもできないという自己暗示にかかっている」などと使われます。
・「操られる(あやつられる)」
「誰かに思い通りに動かされること」という意味です。
「主人公は悪者に操られているフリをした」などと使われます。
「マインドコントロール」の対義語
・「我に返る(われにかえる)」「興奮状態から覚めて正常な判断力を取り戻すこと」という意味です。
「催眠術から覚めて我に返った」などと使われます。
まとめ
今回は「洗脳」と「マインドコントロール」について紹介しました。
「洗脳」は「強制的に支配すること」、「マインドコントロール」は「共感させて支配すること」と覚えておきましょう。