この記事では、「所有」と「占有」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「所有」と「占有」の違い
「所有」とは、その人自身のものとして持っていることです。
「占有」には、2つの意味があります。
1つめは、自分の持っているものにすることです。
もう一つは、民法上、自分のものとする意志を持って物を所有することです。
どちらの言葉にも持つという意味が含まれていますが、やや意味合いが違います。
「所有」は、単に自分のものとして持っていることです。
どのようなものであっても、持っていることについてをいいます。
「占有」は、管理支配する意味合いを持つ言葉です。
自分だけのものにする、自分の思う通りに動かせるといった意味合いがあります。
「所有」と「占有」の使い方の違い
自身のものとして持っていることについて「所有」を使用します。
自分のものとすることや、支配管理する物について「占有」を使用します。
「所有」と「占有」の英語表記の違い
「所有」は英語で“possession”と表現をします。
「占有」は英語で“occupation”や“possession”と表現をします。
特に土地や家屋については“occupancy”と表現をします。
「所有」の意味
「所有」とは、我のものとして持っていることです。
書店に置いてある本は、自分のものではなく、書店のもです。
しかし、自分でお金を払って購入をすれば、自分のものになります。
こうして、本を「所有」したことになります。
ものを持っていることを意味しており、人を持っていることではありません。
そもそも、人は誰のものでもありません。
子どもは親のものだと思うかもしれませんが、法律上の親権があっても、子どもは親の持ち物ではないのです。
人を持っていることを指す言葉ではありませんが、物については、大小を問わず「所有」ということができます。
文庫本の価格は500円前後で、大きさは手のひらサイズほどです。
家は文庫本に比べて価格は高く、購入をするとなると何百万円、数千万円とします。
そして、大きさは文庫本よりもあります。
このように価格も大きさも違うものですが、自分のものであれば「所有」です。
他人が持っているものを一時的に手にしている状態のことはいいません。
借りているものについては、いわない言葉です。
たとえば、自転車を借りた場合、一時的に自分のもののように扱いますが、実際には自分のものではないので、「所有」ではありません。
また、今実際に手の中にあるかということは問いません。
山や家を自分のものとして持っていても、手の上に乗せることはできませんが、これらを持っていることも意味します。
「所有」の使い方
自身のものとして持っていることについて使用をします。
物の大きさや価格は関係なく使える言葉です。
カメラにも、家にも、山にも使えます。
しかし、一般的には金銭的な価値があるものについていいます。
財産としての価値はないポテトチップスのようなものについては、自分で購入して自分のものであっても、あまり使わない言葉です。
「所有」を使った例文
・『馬を所有している』
・『いくつもの資格を所有しています』
・『田舎に自分たちが食べる野菜を育てるための畑を所有しています』
・『植物園が所有している珍しい植物』
「所有」の類語
「有する」「所持」「保有」が類語です。
「有する」には、持っているという意味があります。
「所持」とは、身につけて持っていることです。
「保有」とは、なくさないように持っていることです。
「所有」の対義語
対義語はありません。
「占有」の意味
「占有」には、2つの意味があります。
1つめは、自分のものとして持つことです。
支配管理する意味合いがあります。
「占」という漢字は、しめる、自分のものとするという意味を持っています。
クローゼットの中は、物でいっぱいという方もいることでしょう。
洋服、バッグ、靴、帽子など、いろいろなものをクローゼットにしまってしまいがちです。
そうすると、クローゼットは物で占められてしまいます。
このような状態のことをいいます。
物で支配されているような状態です。
バッグの中も、物で占められてしまうことが珍しくありません。
女性の場合だと、メイク用品やお菓子など、さまざまなものを持ち歩くことがあり、バッグの中がいっぱいということがあります。
物で占められている状態です。
キャンプ場では、区画分けがされていて、予約をすればある区画を自分のものとして使うことができます。
一時的にですが、自分のものとしています。
このようなことも指す言葉です。
もう一つの意味は、民法上、自身のためにする意志を持って所有することです。
「占有」の使い方
自分のものにして持つことについて使用をします。
支配するといった意味を含む言葉です。
ある物がある場所を占めていることについても使用をします。
クローゼットが物で埋め尽くされている、バッグの中が物で埋め尽くされているといった状態のことを指して使用することが可能です。
クローゼットの中が物でいっぱいなどは、日常珍しいことではなく、日常的に使われる言葉です。
民法上の意味では、不動産関係のことについてよく使われます。
家を購入するときに聞くかもしれません。
「占有」を使った例文
・『階段に占有されるスペースをできるだけ少なくなるように設計する』
・『ディスプレーが画面の大部分を占有しています』
・『誰かが占有しています』
・『フロアの占有面積を計算する』
「占有」の類語
「占める」「占領」「占拠」が類語です。
「占める」には、場所・地位・物などを自分のものとすること、全体の中の割合という意味があります。
「占領」とは、武力で土地や人を支配下におくこと、独り占めにすることです。
「占拠」には、占領すること、ある場所を自分のものにして人を寄せ付けないという意味があります。
「占有」の対義語
対義語はありません。
まとめ
自分のものとするという意味を持つ2つの言葉ですが、「所有」は単に持っていること、「占有」は支配管理にあることを意味しています。