「憎しみ」と「憎悪」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「憎しみ」と「憎悪」の違い生活・教育

この記事では、「憎しみ」「憎悪」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「憎しみ」と「憎悪」の違い

「憎しみ(にくしみ)」「憎悪(ぞうお)」はいずれも、「何らかの過去の遺恨や因縁があって、相手のことをひどく嫌ったり相手の不幸を願ったりすること」を意味しています。

「憎悪」のほうが「憎しみ」よりも語感として、「相手を強く嫌う程度・度合いが強い」という違いはあります。

「憎しみ」「憎悪」と比べると、「相手を気に入らずに嫌っている」というややライトな語感があります。

また「憎しみ」は柔らかい語感のある「和語(大和言葉)」であり、「憎悪」のほうは漢文調・専門語風の硬い語感になる「漢語」であるという違いも指摘できます。


「憎しみ」と「憎悪」の使い方の違い

「憎しみ」「憎悪」は基本的に「相手の不幸を望むほどに強く嫌う」という同じ意味を持っていますが、使い方には若干の違いがあります。

「憎しみ」はソフトな響きの和語(大和言葉)なので、「日常会話・口語(話し言葉)」として使用される頻度が高くなっています。

「憎しみ」の使い方と比較すると、「憎悪」はハードな響き(硬い感じがする響き)の漢語なので、「文章内の言葉・文語(書き言葉)」として使用されることが多いという違いを挙げられます。


「憎しみ」と「憎悪」の英語表記の違い

「憎しみ」「憎悪」は、英語の表記では厳密な使い分け・区別はありません。

そのため、「憎しみ」「憎悪」を英語を用いて表現すると以下のようになります。

“hatred”……憎むことや嫌うことを意味する英語の名詞です。

憎しみ・憎悪。

“hate”……憎む(憎悪する)や嫌うを意味する英語の動詞です。

憎しみを持つ。

憎悪する。

“resentment”……怒り・恨み・腹立たしさを覚えること。

敵意や恨みといった語感の強い英語の名詞。

憎しみ。

憎悪。

ただし、以下の英語は特に「相手を恨んだり嫌ったりする程度が大きい」ため、「憎悪」の翻訳をされることが多くなります。

“loathing”“abhorrence”……相手の存在を認めたくないほどの憎悪。

嫌いで体が震えるほどの憎悪。

「憎しみ」の意味

「憎しみ(にくしみ)」は、「ある人・モノをひどく嫌悪して、その人・モノに何か悪い出来事が起きれば良いと願うこと」を意味しています。

「憎しみ」というのは「愛しさ・愛らしさの対義語」であり、「相手の存在を否定するほどに強く嫌ったり恨んだりすること」を示しているのです。

「憎しみ」の使い方

「憎しみ」は、「相手・モノに対して強い反発や嫌悪を感じたりして、その相手に何か不幸なことが起こって欲しい気持ちを持つこと」を意味して使う使い方になります。

「憎しみ」という表現は、「憎しみを持つ・憎しみを抱く・憎しみを覚える・憎しみが増す・憎しみを抑える・憎しみに満ちた・憎しみにとらわれる」などの用法で使われます。

「憎しみ」を使った例文

・『子供時代に父親からの身体的・精神的な虐待があり、今も父親に対しては憎しみに近い感情を持ち続けています。』
・『犯人に対する憎しみを抱き続けることによって、自分自身の人生もまったく楽しむことができなくなりました。』
・『あの男に対するこの激しい憎しみがどこから沸き上がってくるのか、自分にもその理由がよく分からないのです。』
・『少し前まで憎しみ合っていた二人でしたが、共通の敵の登場によっていつの間にか助け合う関係になっていました。』
・『理不尽で冷淡な仕打ちが繰り返される度に、私の彼に対する憎しみの気持ちは増すばかりでした。』

「憎しみ」の類語

「憎しみ」の類語には、以下の言葉があります。

・『恨み(うらみ)』……相手から侮辱されたり嫌なことをされたりして憎く思う気持ち、報復したいと思う気持ち。

・『怒り(いかり)』……自分に危害を加えたり邪魔したりする他者(物事)に対する攻撃的かつ原初的(本能的)な感情。

・『憎悪(ぞうお)』……相手や物事を激しく嫌悪してうらむこと。

「憎しみ」の対義語

「憎しみ」の対義語には、以下の言葉があります。

・『愛しさ』……相手のことを守りたいと思ったり大切にして可愛がりたいと思ったりする気持ち。

・『好感』……憎しみとは正反対の他者に対する好ましい評価と感情。

「憎悪」の意味

「憎悪(ぞうお)」とは、「自分に危害・屈辱などを加えた相手をひどく嫌って、その嫌っている相手の不幸・復讐を願うこと」を意味しています。

また「憎悪」には、「相手が原因となって生じた自分のネガティブな感情を思い知らせたいという感情」の意味のニュアンスもあります。

「憎悪」というのは、「何らかの理由(事情)があって、相手に対する嫌悪感が強くてその相手の存在を否定したくなるような激烈な感情」を示している表現なのです。

「憎悪」の使い方

「憎悪」という言葉は、「その相手や物事に対して非常に嫌いな感情が強くて、報復したいとか不幸になってほしいとかの気持ち」を意味して使うことができます。

「憎悪」の表現は、「憎悪する・憎悪しない・憎悪を抱く・憎悪が増す・憎悪の念・憎悪にとらわれる」などの用法で使う使い方があります。

「憎悪」を使った例文

・『ここまで人を憎悪したのは人生で初めてでしたが、その人に会えば会うほど嫌いになりました。』
・『凶悪犯罪者の多くは、社会や他者に対する根深い憎悪感情を持っています。』
・『男尊女卑や女性差別の思想を持っている人は、心のどこかに女性への憎悪があることが多いのです。』
・『私はこれから先の人生や対人関係において、他者を憎悪しない生き方をすると決めています。』
・『近年は、人種・民族・宗教などの差別感情を背景にした憎悪犯罪(ヘイトクライム)が増加傾向にあります。』

「憎悪」の類語

「憎悪」の類語には、以下の言葉があります。

・『嫌悪(けんお)』……特定の相手・モノを憎んで嫌うこと。

・『怨恨(えんこん)』……何らかの原因・遺恨があって、相手のことを深くうらむこと。

・『応報感情(おうほうかんじょう)』……相手からひどい仕打ちをされた場合などに、相手に対して復讐したい(同程度の苦痛を味あわせたい)と思う感情。

「憎悪」の対義語

「憎悪」の対義語には、以下の言葉があります。

・『愛情(あいじょう)』……相手・モノのことを愛おしくてかけがえのないものとしてとらえる気持ち・感情。

・『好意(こうい)』……嫌悪感・恨みの感情などではなく、相手(他者)のことを好ましい存在であると思うポジティブな気持ち。

まとめ

「憎しみ」「憎悪」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「憎しみ」「憎悪」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容を読み込んでみてください。