この記事では、「憔悴」と「疲弊」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「憔悴」と「疲弊」の違い
「憔悴」とは、気がかりなこと、疲れ、病気などによって、やせて衰弱することです。
「疲弊」には、2つの意味があります。
1つめは、心や体が疲れて弱ることです。
もう一つは、経済が活発でない状態のことです。
「憔悴」の意味と「疲弊」の心や体が疲れて弱ることという意味が似ていますが、まったく同じことを指しているのではありません・ 「衰弱」とは、衰えて弱ることです。
「憔悴」は単に弱っていること、疲れていることではなく、衰えて弱る、つまりや勢いがない状態の意味を含んでいます。
また、衰弱してしまったのは、気がかりなこと、疲れ、病気などが原因です。
「疲弊」は、「憔悴」ほど体の肉がなくなった状態ではなく、心や体が疲れ切ってしまった状態のことです。
「疲弊」には、なぜ疲れて弱ってしまったのかという意味は含まれていません。
家庭の問題、仕事、睡眠不足、考え過ぎなど、さまざまな理由が考えられます。
「憔悴」と「疲弊」の使い方の違い
体の肉が少なくなっていて、疲れて弱っている状態を指して「憔悴」を使用します。
病気などでげっそりやせてしまったときに使われることが多くあります。
精神的あるいは肉体的にくたびれた状態を指して「疲弊」を使用します。
体がふっくらとしていても、心は「疲弊」していることはあります。
体型とは関係なく使える言葉です。
「憔悴」と「疲弊」の英語表記の違い
「憔悴」は英語で“be emaciated”や“be tired out”と表現をします。
「疲弊」は英語で“become impoverished”や“become exhausted”と表現をします。
「憔悴」の意味
「憔悴」とは、気にかかること、病気、疲れなどによってやせ衰えることです。
単にやせ衰えることではなく、やせ衰えてしまった理由が、気にかかること、病気、疲れなどによるものを意味しています。
「衰える」とは、力や勢いが弱い状態のことです。
つまり「憔悴」は、体の肉が少なくなっていて、元気もない状態ということになります。
絶対に東大に合格するんだ、東大以外の大学は大学ではないと考えていた人が、東大に合格できなかったとします。
その人は、東大に入ることだけを考えていたため、合格できなかったことはとても心の負担になりました。
心を悩ませている状態です。
それによって、これまでのようなイキイキとした状態ではなくなってしまい、次第にやせてもきました。
やせ衰えた状態ということができます。
このような状態が「憔悴」です。
病気によって「憔悴」してしまうことは珍しくありません。
病気とは、肉体的や精神的な機能に障害が生じ、苦痛や不快感が伴う状態のことです。
苦痛な状態で楽しそうにできる人は少ないことでしょう。
肉体的な機能に障害が生じると、やせてくることもあります。
また、いつ病気が治るだろうか、本当に治るのだろうかなど、気がかりにもなります。
そして、やせ衰えてしまうことがあるのです。
「憔悴」しているといえます。
「憔悴」の使い方
やせていて、力や勢いが弱い状態のことを指して使用します。
いつも元気そうだ、にこにこしている、体がふっくらしているといった状態のことは「憔悴」とはいいません。
肉が落ちて体が細い状態、元気がない状態、活力に乏しい状態、このような状態をいいます。
「憔悴」を使った例文
・『憔悴から何とか回復させたい』
・『憔悴した彼を見て、周囲の人たちは心配していた』
・『憔悴していると一目見てわかった』
・『まだ憔悴しているようだ』
「憔悴」の類語
「やせ衰える」が類語です。
「憔悴」の対義語
「元気」が対義語です。
体の調子がよく、健康的な状態のことです。
「疲弊」の意味
「疲弊」には、2つの意味があります。
1つめは、心や体が疲れて勢いがなくなることです。
「疲弊」には、なぜ心や体が疲れてしまったのかという意味は含まれていません。
新年度になって生活環境が変わったことで考えてみます。
地方に住んでいたけれど、就職をして東京で一人暮らしをすることになりました。
一人暮らしははじめてです。
料理を作る、洗濯をする、電気代や水道代などを支払うなども、自分一人だけで行うのははじめてです。
はじめてなので、わからないことがあったり、うまくできないこともあったりします。
そして、仕事もはじめてのことばかりです。
慣れないため、先輩に叱られてしまうこともあります。
このような状態が続き、ストレスがたまっていきました。
ストレスがたまって疲れたと感じた経験がある人は少なくないことでしょう。
ストレスは心や体に影響を与えます。
そして、心も体も疲れて弱ってしまうのです。
このような疲れて弱った状態が「疲弊」です。
その他にも、食べ過ぎて胃腸が「疲弊」してしまう、話が通じない人と長時間話していて「疲弊」するなど、さまざまな「疲弊」の原因があります。
「疲弊」のもう一つの意味は、経済状況などが悪くなって、活力がなくなることです。
経済状況が悪くなると、物の売れ行きが悪く、社会全体が重たい雰囲気になることが少なくありません。
社会が疲れて元気がない状態といえるでしょう。
「疲弊」の使い方
心や体が疲れて弱っていること、経済状況などが悪くなって元気がないことについて使用をします。
どちらの意味でも、活発でない状態を指しています。
心や体が疲れてしまったのはなぜなのか、という意味は含まれていないので、仕事で「疲弊」した、食べ過ぎて内臓が「疲弊」した、考えすぎて脳が「疲弊」したなど、さまざまな使い方ができます。
元気でよく体を動かしている、毎日ハツラツと過ごしているといった状態のことを指して使用はしません。
「疲弊」を使った例文
・『スマホばかり使用していて脳が疲弊する』
・『疲弊した彼のことが心配だ』
・『疲弊しないように休みなさい』
・『休むことができないと疲弊する可能性がある』
「疲弊」の類語
「疲れ」が類語です。
「疲弊」の対義語
「元気」が対義語です。
まとめ
元気がないことを意味する2つの言葉です。
しかし、「憔悴」は体の肉が少なく勢いがないことですが、「疲弊」はやせていないこともあり、違う意味を持っています。