この記事では、「様々」と「多様」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「様々」と「多様」の違い
「様々」とは、物事がそれぞれ違っていることです。
「多様」とは、いろいろと違った物事があることです。
2つの言葉はどちらも、種類がたくさんあるという意味を持っており、ほぼ同じ意味です。
どちらの言葉も、それぞれのものが異なっているという意味を含んでおり、それぞれのものの違う点に着目しています。
バラといってもいろいろな種類があります。
たとえば、 アークエンジェル、アイヴァンホー、ライム、クイーンアン、グラナダなどです。
これらはそれぞれ違った特徴を持っています。
バラといっても、いろいろと違った部分があるのです。
このように違いに着目して「様々」「多様」といいます。
「様々」と「多様」の使い方の違い
2つの言葉はどちらも同じような意味を持っているため、「様々な施設」「多様な施設」同じように使用することができます。
この場合は、いろいろな違いのある施設という意味になります。
しかし、「品物を様々にそろえる」とはいいますが、「品物を多用にそろえる」とはあまりいません。
「品物を多様にそろえる」も間違いではないのですが、「様々」を使用する方が自然です。
「様々」と「多様」の英語表記の違い
「様々」は英語で“various”と表現をします。
「多様」も英語で“various”と表現をします。
「様々」の意味
「様々」とは、物事がそれぞれ違っていることです。
それぞれのものの違いに着目をしています。
アメリカは人種のサラダボウルといわれています。
サラダボウルには、レタス、キュウリ、トマト、水菜、クルトン、アボカドなど、いろいろな食材が使用されています。
いろいろな食材が使われていながらも、それらが混ざってしまうのではなく、それぞれの個性が活かされています。
これを比喩してアメリカは人種サラダボウルだといわれています。
アメリカには、数多くの人種が存在しています。
そして、人種によって文化や言語などが異なります。
それぞれの違いに着目をして、いろいろな人種がいることを「様々な人種」ということができます。
大きなスーパーなどに行くと、レトルトカレーのコーナーには何種類ものカレーが置かれています。
カレーという点では同じですが、メーカー、使用している具材、甘口・辛口などの味など、いろいろな点で異なっています。
これら異なる点に注目をして「様々なカレー」ということができます。
「様々」とは複数のものの違いに着目した言葉で、違いがないものについてを意味しているのではありません。
たとえば、バラにはコーネリアという品種があるのですが、コーネリアが何本も植えられている様子を指して「様々なコーネリア」とはいいません。
それぞれのコーネリアをよく見ると、葉や花の大きさなどが違うかもしれませんが、このような違いを指して「様々」とはいいません。
「様々」の使い方
物事がそれぞれ違っていることについて使用をします。
複数の違うものが存在しているときに使用される言葉です。
単一のものしか存在していないときには使用しません。
「様々」を使った例文
・『様々な食材を揃えています』
・『様々な洗剤があって、どれを選べばいいかわからない』
・『様々な人と交流をする』
・『様々な意見を聞く』
・『様々な分野の職業の人と出会った』
「様々」の類語
「いろいろ」とは、複数の異なるもののことです。
「各種」はいろいろな物事のことで、具体的なものを指しています。
「種々」は種類や品物が多いことで、具体的なものにも抽象的なものにも使用されます。
「様々」の対義語
「単一」が対義語です。
ただ一つであることという意味があります。
「多様」の意味
「多様」とは、いろいろと種類の違ったものがあることです。
それぞれのものの違いに着目をしています。
アプリのスタンプには、オリジナルキャラクター、人気のキャラクター、アニメーション、ゲーム、メッセージなど、いろいろな種類があります。
これらはそれぞれ違いがあり、同じものではありません。
これらの違いに着目をして、いろいろなものがあることを「多様」といいます。
大都市に行くと、電気店、食料品店、衣料品店、ドラッグストア、雑貨店など、いろいろな店が並んでいます。
これらはどの店も違ったものを販売しています。
電気店で売っているような冷蔵庫が、ドラッグストアで売られていることはありません。
それぞれが違っているのです。
このように違うものがいろいろあることも「多様」といいます。
この場合は「多様な店」ということができます。
「多様」は違いに着目した言葉であり、違いがあれば物だけでなく形のないもの、たとえば考えなどのことも指すことができます。
人それぞれ持っている考えが違います。
たとえば言語に関していえば、英語を話せるようになるべきと考えている人もいれば、日本に住んでいるなら英語は話せなくてもいいと考えている人もいます。
それぞれ違った考えがあるのです。
これは「多様な考え」といえます。
「多様」の使い方
違ったものがあることについて使用をします。
それぞれの違いに着目をした言葉です。
まったく同じものがいくつも存在していることについては使用しません。
たとえば、オレンジ味のキャンディーの袋の中には、オレンジ味のキャンディーしか入っていません。
いくつもの数がありますが、それらは同じものなので「多様」とはいいません。
数量の問題ではなく、違いのことです。
「多様」を使った例文
・『通りには多様な店が並んでいる』
・『多様な意見を聞く』
・『多様なチューリップが栽培されている』
・『多様な言語を理解する』
・『多様なメニューを揃えています』
「多様」の類語
「いろいろ」「各種」「種々」が類語です。
「多様」の対義語
「単一」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉にも、種類がたくさんあるという意味が含まれており、いくつものものがあって、その中の違いに着目した言葉です。
同じような意味を持っているため、同じように使用することができます。