「選考」と「選定」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「選考」と「選定」の違い生活・教育

この記事では、「選考」「選定」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「選考」と「選定」の違い

「選考」とは、何かを成し遂げる力、性質、品格などをよく調べて、必要な資格を備えている人物を選び出すことです。

「選定」とは、目的にかなったものを選び定めることです。

どちらの言葉にも選ぶという意味が含まれていますが、同じ意味を持っている言葉ではありません。

「選考」は適格者を選ぶためのものです。

適格とは、必要な資格を備えていることです。

会社の入社試験に何人かの人がやってきたとします。

それぞれの人で備えている能力や人柄は異なります。

それぞれの人の能力や人柄などをよく調べ、この人は必要な資格を備えていると判断した人を選び出すことが「選考」です。

「選定」は、特定の目的のために適切なものがどれか選ぶことです。

人のことだけでなく物についても、これがピッタリだと選んで決めることなら、「選定」ということができます。

いくつかの商品があり、その中から目的や条件にあったものを選んで決めることも「選定」といえます。


「選考」と「選定」の使い方の違い

求めているものを持っている人を選び出すことについて「選考」を使用します。

主に人について使用する言葉です。

ある条件や目的が存在し、それにピッタリなものを選んで決めることについて「選定」を使用します。

人にも物にもついて使える言葉です。


「選考」と「選定」の英語表記の違い

「選考」は英語で“selection”と表現をします。

「選定」は英語で“selection”“choice”と表現をします。

「選考」の意味

「選考」とは、物事を成し遂げる力、性質、品格などをよく調べて、必要な資格を備えている人を選びだすことです。

企業では新入社員を選ぶために「選考」が行われます。

「選考」のやり方は企業によって異なりますが、エントリーシートや履歴書を提出させ、期待できそうな人物を選びだして面接を行い、その中から適格と判断したものを選ぶことが一般的です。

中には筆記試験やグループワークを行う企業もあります。

エントリーシートからは、その人物の能力や人柄、仕事に対する意欲などを読み取ることができます。

そういったものから、企業が求める資格を備えているのか判断をします。

そして、適格であると判断された人物を選び出すことが「選考」です。

「選考」は人を選ぶことで、それ以外のものを選び出すことではありません。

たとえば、今目の前に何枚かの違ったセーターがあったとします。

この中から温かいものを選びたいと考え、試着をして温かさを確かめてみました。

そして、温かく欲しいと思ったものを選び出しました。

選んでいるのですが、これは「選考」ではありません。

「選考」の使い方

人の能力、性質、品格などを調べて、あることを行うのに必要な条件を備えている人物を選びだすことについて使用をします。

人物について使用する言葉で、それ以外のことについては使用しません。

「選考」という言葉がよく使用されるのは、企業の入社試験のときです。

企業の入社試験では、企業が必要とする人物が選び出されています。

オリンピックの出場選手を決めるときなども「選考」が行われます。

オリンピック出場を希望する選手が「選考会」に出場をし、競技を行い、能力が判断され、必要な資格を備えていると判断されたものが選び出されます。

人の能力などを競技によって調べ、そして選びだしていることなので「選考」といいます。

「選考」を使った例文

・『選考会に参加する』
・『選考に合格することができた』
・『どんな人も選考の対象になります』
・『メンバーを選考する』
・『選考の対象とされなかった』

「選考」の類語

「選び出す」が類語です。

「選考」の対義語

対義語はありません。

「選定」の意味

「選定」とは、複数ある中から、ピッタリだと思うものを選んで決めることです。

環境省は「かおり風景100選」というものを選び出しています。

これは、日本全国から自然、文化、生活に根ざした風景を募集し、厚生労働省が選びだした地域のことです。

ふらののラベンダー、大潟菜の花ロード、川越の菓子屋横丁などが選ばれています。

香りのある自然、生活、文化に根ざした質の高い環境への取り組みが行われることを期待して選びだしたものです。

全国各地から数多くの地域が応募されましたが、この目的にかなったものを100地域選びだしています。

このように、ある目的が存在し、それにあったものを選ぶことが「選定」です。

ふさわしいと思うものを選ぶことで、ふさわしくないものを選ぶことではありません。

また、条件や目的にあったものを選ぶことで、適当に選ぶことでもありません。

「選定」は特定の目的のために行われます。

「選定」の使い方

これがピッタリだと選んで決めることについて使用をします。

人にも物にも使用できる言葉です。

かおり風景100選の場合は、ものになります。

一つしか物がない場合は、そもそも選びようがないので、選ぶことができないのでこの言葉は使用しません。

また、この言葉には条件や目的にあったという意味が含まれており、物事の前提となる事柄、行動のねらいなどが存在しないことには使用しません。

「選定」をするのは、何かの目的があるときで、目的がないときには「選定」という言葉は使用しないことが一般的です。

「選定」を使った例文

・『一流パティシエが選定したお菓子』
・『雑誌掲載のための写真を選定する』
・『10地域が選定されました』
・『どれもよくて選定に迷う』
・『選定基準を明確にする』

「選定」の類語

「選択」「セレクト」が類語です。

「選択」には、いくつかの中から目的にあうものを選ぶという意味があります。

「セレクト」「選択」とほぼ同じ意味です。

「選定」の対義語

対義語はありません。

まとめ

選ぶという意味を持つ2つの言葉ですが、何の目的で選ぶのか、何を選ぶのかという点で意味が異なっています。

人に対してしか使わない、人にも物にも使えるなど、使い方も違います。