この記事では、「異様」と「異常」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「異様」と「異常」の違い
「異様」とは、ごくありふれたものとは違っていることです。
「異常」とは、正しい状態とは違うことです。
どちらの言葉も普通でないという意味を持っていますが、同じことではありません。
「異様」は、外から見て普通でないことを意味しています。
気味が悪くて不安を覚えるというニュアンスを含んでいる言葉です。
通常は夜の空は暗くなり、黒っぽい色をしています。
この状態が普通です。
しかし、夜に空が赤くなっていたら、普通ではありません。
気味悪く感じることもあるでしょう。
こういった状態が「異様」です。
「異常」は、標準から離れていることです。
平均ではない、ある基準ではないといった意味です。
普段は、家庭用の冷蔵庫は大きな音を立てずに稼働しています。
これが普通な状態です。
しかし、普段とは違って大きな音を立てたなら、標準の運転方法とは違っているといえます。
このような状態が「異常」です。
「異様」と「異常」の使い方の違い
ありふれているものではないことについて「異様」を使用します。
外から見てわかることについて使用することが多いです。
正常ではないことについて「異常」を使用します。
「異様」と「異常」の英語表記の違い
「異様」は英語で“strange”や“odd”や“grotesque”と表現をします。
「異常」は英語で“abnormality”や“unusual”や“anomaly”と表現をします。
「異様」の意味
「異様」とは、ありふれたことではないさま、変わっているところがあるさまのことです。
気味が悪いというニュアンスを含んでいます。
家に人が来ると吠える犬は珍しくありません。
これは、ごくありふれたことといえます。
家に人が来たときに吠えるだけでなく、口から泡を吐く、目が飛び出る、飛び回る、飛びつくなどは、ありふれていることとはいえないでしょう。
口から泡を吐く、目が飛び出るなどは、普通のときには滅多にないことです。
こういったありふれていないことが「異様」です。
犬の子のような行動は外から見てわかることで、「異様」は主に外から見てわかることを指しています。
夕焼け空は、普段から赤い色をしています。
赤い色をしているからといって、普通の状態ではないとはいいません。
しかし、普段よりもとても赤い色をしている、普通の赤さでないといった場合は、ありふれたことではないので「異様」です。
雰囲気として感じられることも「異様」といいます。
ある絵画を見て、どこがどうと指摘することはできないけれど、何か普通でないものを感じるといったことがあるはずです。
そのような雰囲気や状態が「異様」です。
「異様」の使い方
ごくありふれたことでないものを指して使用します。
人によってありふれていると感じることは違います。
飲食店で料理を注文して、5分ででてくるのが当たり前の人にとっては、料理を注文してから出てくるまで30分かかるのは、「異様」に長く感じることでしょう。
しかし、普段から料理が出てくるまでに30分かかっていれば、それはありふれたことで「異様」とは感じないはずです。
何が普通で、何が普通ではないのか、人によって感じ方が違うので、同じ状況でも「異様」と感じることもあれば、感じないこともあります。
その人が「異様」と感じれば、「異様」を使うことができます。
「異様」を使った例文
・『異様な光景を目にした』
・『異様な雰囲気が漂っている』
・『異様に目立っている』
・『異様に少なかった』
「異様」の類語
「グロテスク」「おどろおどろしい」が類語です。
「グロテスク」には、具体的に目に見える普通ではない状態という意味があります。
「おどろおどろしい」とは、不気味で恐ろしいことです。
「異様」の対義語
「普通」が対義語です。
「異常」の意味
「異常」とは、ある基準から外れていること、変わったところがあることです。
化粧品のパッケージには、「肌に異常がないか確かめてください」などと記載されていることがあります。
この場合の「異常」とは、肌に赤み、かゆみ、腫れなどがでることを意味しています。
通常は、化粧品を塗っても赤み、かゆみ、腫れなどはでないものとされています。
また、人間の肌は通常は赤み、かゆみ、腫れなどはない状態です。
こういったものが出るのは、普段と変わっているといえます。
このような状態が「異常」です。
100m走の高校生男子の平均タイムは、12秒20くらいです。
平均なことは「異常」とはいいません。
高校生男子で100mを10秒で走れたら、基準となる12秒20よりも大幅に速いので、基準から外れているという事ができます。
このようなさまは「異常に速い」ということができます。
日本の8月の日平均気温は、29度ほどです。
最高気温、最低気温のことではなく、平均気温のことです。
通常はこれくらいですが、もしも8月の気温の日平均が38度などになったら、平均から外れていることになります。
これは「異常な暑さ」ということができます。
「異常」の使い方
基準から外れていること、変わっていることについて使用をします。
基準から外れていることについて使用する場合は、わずかに外れていることではなく、大きく外れていることをいいます。
変わっていることとは、普通ではないということです。
何が普通なのか、そのときどきで違い、また人によっても感じ方が違うので、変わっていると感じることも、そのときどき、人それぞれで違います。
ある人にとって「異常」と感じられるのであれば、「異常」を使うことができます。
「異常」を使った例文
・『異常に反応している』
・『異常なほどに敏感だ』
・『異常なほどの熱が出ている』
・『異常な痛さだと思う』
「異常」の類語
「変」「特異」が類語です。
「変」とは、普通ではないことです。
「特異」には、同じ類のものと比べて違っているという意味があります。
「異常」の対義語
「普通」が対義語です。
まとめ
普通ではないという意味を持つ2つの言葉ですが、「異様」は変わっていること、「異常」は基準から外れていることで、意味合いが違います。