この記事では、「共用」と「共有」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「共用」と「共有」の違い
「共用」には、2つの意味があります。
1つめは、一つのものを二人以上で一緒に使うことです。
もう一つは、一つのものを複数の目的で使うことです。
「共有」とは、一つのものを二人以上で持つことです。
どちらの言葉にも、ともに、いっしょにという意味を持つ「共」という漢字が使用されており、どちらの言葉にも一緒にという意味が含まれています。
しかし、同じことを指しているのではありません。
「共用」の場合は、一緒に使うことを意味しています。
たとえば、カーシェアリングは一つの車を複数人で使うもので、車を「共用」しているといえます。
また、一つのものを二つ以上の目的で使うという意味もあります。
ソファは一般的には座るために使用されますが、ベッドとしても使うことができます。
こういったことも「共用」といいます。
「共有」の場合は、一緒に持つことを意味しています。
とある情報を自分一人だけで持っているのではなく、複数人で持っていたとします。
この情報は「共有」しているといえます。
カーシェアリングの場合、複数人で一つの車を持っているように思えますが、名義人は複数人ではありません。
所有権をいくつかに分けて複数人が持っているなら「共有」ともいえますが、カーシェアリングの場合はそうではないので、「共有」ではありません。
「共用」と「共有」の使い方の違い
一つのものをともに使うことや、一つのものに複数の目的を持たせることについて「共用」を使用します。
一つのものをともに持っていることについて「共有」を使用します。
「共用」と「共有」の英語表記の違い
「共用」は英語で“share”と表現をします。
「共有」は英語で“have jointly”と表現をします。
「共用」の意味
「共用」には、2つの意味があります。
1つめは、一つのものを二人以上がともに使うことです。
マンションの廊下は、マンションに住んでいる人が誰でも使っていいものです。
ここは、二人以上がともに使っている場所であり、「共用」の場所ということができます。
マンションの場合、居室はある人が持っているもので、マンションの住民みんなが一緒に使う場所ではありません。
そのため、居室は「共用」の部分ではないことになります。
仲のよい姉妹だと、1枚の服を姉妹で貸し借りすることがあるでしょう。
1枚の服をともに使っているということができます。
これも「共用」です。
もう一つの意味は、一つのものを2種類以上のことに使うことです。
あまりやらないで欲しいことですが、人間が食事をするときに使う食器を、猫が食事をするときに使う食器としても使うといった場合、皿というものを人間の食事用、猫の食事用と2種類以上のことに使っていることになり、「共用」といえます。
本来は、人間用の食器と猫用の食器は分けることが望ましいです。
「共用」の使い方
一つのものを複数人がともに使うことについて使用をします。
「共用」されているものは、身の回りにたくさんあります。
たとえば、公共の場所のトイレ、親子がともに使う化粧品、兄弟がともに使う子供部屋、トイレのスリッパなどがあります。
身の回りに「共用」のものがあふれているので、さまざまな場面で使われている言葉です。
「共用」を使った例文
・『タオルはなるべく共用しないでください』
・『共用の場所はきれいに使いましょう』
・『共用するメリット』
・『共用スペースの掃除が行き届いている』
「共用」の類語
「公用」が類語です。
公共の団体が使用することといういみがあります。
「共用」の対義語
「専用」「愛用」が対義語です。
「専用」には、限られた人だけが使うという意味があります。
「愛用」とは、好んで使用することです。
「共有」の意味
「共有」とは、一つのものを複数人がともに持つことです。
介護を必要とする人がいる家庭のことで考えてみます。
介護を必要とする人をAさんとします。
Aさんのことを日中みているのは妻です。
この人には子どもが2人いて、一緒に暮らしています。
そして、ときにはAさんの介護を行ってくれます。
しかし、日中は仕事で外に出ているため、Aさんが普段どのような様子はわかりません。
Aさんの情報を多く持っているのは妻です。
一人で情報を持っていることは「共有」ではありません。
妻は子どもたちもAさんの情報を持っていた方が、何かあったときに対応できるだろうと考え、子どもたちにも情報を伝えました。
こうして、同じ情報を複数人が持つことになりました。
これを情報を「共有」するといいます。
夫婦が住んでいる家の場合、「共有」といえることもあれば、そうでないこともあります。
家の名義人は、夫あるいは妻のどちらかになっていることでしょう。
家は財産です。
家という財産を分けて夫と妻が持っていれは「共有」といえますが、どちらか一方が持っている場合は「共有」ではありません。
「共有」の使い方
一つのものを複数人がともに持つことについて使用をします。
一人だけに所有権があり、たまに他の人に貸してあげるといったことは、他の人が使っていても「共有」ではありません。
一つのものに対して所有権が複数人にあることを指しています。
「共有」は使うことではなく、所有権があることについて使用します。
「共有」を使った例文
・『医師と家族が情報を共有することは大切です』
・『両親が共有している畑』
・『共有の財産だと思っていたのに』
・『親子であっても共有しない』
「共有」の類語
「分有」「合有」が類語です。
「分有」には、一つのものをいくつかに分けて所有することという意味があります。
「合有」は共有所有の一形態です。
「共有」の対義語
「専有」が対義語です。
一人だけで所有することです。
まとめ
どちらの言葉にも、ともにという意味が含まれていますが、ともにどうするのかという点で意味が違います。
同じようなことに使えるので、それぞれの意味を理解して、使用に関して間違えないように注意が必要です。