この記事では、「逐次」と「同時」の違いを分かりやすく説明していきます。
「逐次」と「同時」の違い
「逐次」と「同時」の違いについて紹介します。
「逐次」と「同時」の使い方の違い
「逐次」は、「ものごとが順を追って進む様子」に使われます。
複数のものごとが、ある決まりに従い、1つずつ順番に進められていく様子に使われます。
「同時」は、「ものごとが一度に進む様子」に使われます。
複数のものごとが、いっぺんに進められていく様子に使われます。
「逐次」と「同時」の英語表記の違い
「逐次」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「one after another」で、「一つの後にもう一つ」というニュアンスです。
“They informed us one after another.” (彼らは逐次連絡してきた) 2つ目は「one by one」で「一つずつ」「逐次」という意味です。
“We have to check all one by one.” (私たちは全てを逐次チェックしていくべきだ) 「同時」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「at the same time」で、「時を同じくして」「同時」という意味です。
“We started running home at the same time.” (私たちは同時に家へ向かって走り出した) 2つ目は「simultatenously」で、「一斉に」「同時に」という意味です。
長くて日本人には発音しにくい単語ですが、海外ではよく使われています。
“Do not start talking simultaneously.” (同時に喋り出さないで下さい) 因みに、「同時多発テロ」は英語で「terror attacks on the United States」と言い、「同時」という言葉は含まれていません。
「逐次」の意味
「逐次」は「ちくじ」と読みます。
意味は「ものごとが決め事に従い、順を追って進められる様子のこと」です。
ただむやみに行われるのではなく、「きちんとしたルールや順番」に従って行われることを言います。
手当たり次第に行われるものごとに関しては「逐次」とは言いません。
「逐」は「追う」「追い払う」という意味、「次」は「後に続く」という意味、「逐次」で「次々と続けて追うこと」になります。
「逐次」の使い方
「逐次」は、「ものごとが順を追って進められる様子」に使われます。
言葉や文章の前に付いて「逐次~する・される」と使われることが多くなります。
職業で使われるのが「逐次通訳」という言葉で、「話し手が区切りのよいところまで話して間を置き、通訳がそれまでの内容を訳すことを繰り返すやり方」のことです。
内容を整理して日本語の順番に直して訳せるので、きちんと聞き手に伝わり易くなります。
「逐次」を使った例文
・『絶版となったシリーズが逐次刊行されることになった』
・『面接試験は社長の都合の良い時に逐次進めて行きます』
・『もし何かあれば本部まで逐次報告をお願いします』
・『コロナの予防接種は逐次行われるはずです』
・『この施設内の建物は逐次取り壊される予定になっている』
「逐次」の類語
・「逐一(ちくいち)」
「何から何まで全てことを一つずつ取り上げていくこと」という意味です。
「その件に関しては逐一報告を受けている」などと使われます。
・「順次(じゅんじ)」
「あるものごとを順番通りに行うこと」という意味です。
「到着された方は順次お席にご案内致します」などと使われます。
「逐次」の対義語
・「随時(ずいじ)」
「タイミングが合えばいつでも好きな時にすること」という意味です。
「当店ではアルバイト・パートを随時募集しています」などと使われます。
「同時」の意味
「同時」は「どうじ」と読み、以下の2つの意味があります。
1つ目は「ものごとを同じ時に行うこと」「という意味で、複数のものごとをいっぺんにすることを言います。
日常的にはこちらの意味で使われることがほとんどです。
2つ目は「同じ時代・年代」という意味です。
複数のものごとが、一斉に行われたり進められたりすることで、それぞれ場所が遠く離れていることもあります。
また、「時」の範囲は広く、1秒も狂いなく全く同じ時刻に始めることもあれば、大規模なイベントなどは1日・1週間などの差があっても「同時」と言われることもあるのです。
「同時」の使い方
「同時」は、「ものごとを同じ時に行うこと」に使われます。
名詞・形容動詞として「同時だ・である」と使われたり、「同時に」と副詞として使われたりします。
上記で紹介した「逐次通訳」に対応する言葉として「同時通訳」があります。
「話し手が話している時に、一緒に通訳すること」であり、話を止めずに2人一緒に話している状態です。
話し手が言いたいことを遮られずに言える為に会話がスムーズに進められますが、外国語と日本語では言葉の順番が違いますので、通訳する人には高いスキルが必要とされます。
「同時」を使った例文
・『出発時刻は違ったのに、到着時刻がほとんど同時だった』
・『2つの場所で音楽イベントが同時進行された』
・『皆が同時に喋り出したので収拾がつかなくなってしまった』
・『電車のドアが開くと同時に大勢の乗客が乗り込んできた』
・『小さな子供が。音楽が鳴ると同時に躍り出した』
「同時」の類語
・「並行(へいこう)」
「2つ以上のものがならんで進むこと」「二つ以上のものごとが同時に行われること」という意味です。
「幹線道路に並行して抜け道があることが分かった」などと使われます。
・「両立(りょうりつ)」
「二つのものごとが同時に、しかも同じレベルで成り立つこと」という意味です。
「女性が仕事と育児を両立させるのは大変だ」などと使われます。
「同時」の対義語
・「異時(いじ)」
「違う時、他の時」という意味です。
「これらの議論は趣旨がちがうので異時に行われるべきだ」などと使われます。
まとめ
今回は「逐次」と「同時」について紹介しました。
「逐次」は「ものごとが順を追って進む様子」、「同時」は「ものごとが一度に進む様子」と覚えておきましょう。