「侵攻」と「侵略」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「侵攻」と「侵略」の違い生活・教育

この記事では、「侵攻」「侵略」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「侵攻」と「侵略」の違い

「侵攻」とは、他国や他の領地に侵入して軍事的な手段をもって攻め込むことで、侵略してきた敵国の陣地に攻め込むことも含まれます。

「侵略」とは、他国や他の領地に攻め込んで土地や財物などを奪い取ることで、軍事的な手段をとって行う「直接侵略」と、外国や組織などの指導や干渉などにより被侵略国内の内乱を引き起こす「間接侵略」があります。

「間接侵略」では、外国の反政府団体などに、軍事や財政を援助して内乱を起こすものですが、テロ行為なども該当するため、必ずしも国家が主体であるわけでは無く、革命や民族解放などの形態もあります。

「侵攻」は、他国や他の領地に侵入して軍事的な手段をもって攻め込むことなのに対し、「侵略」は、奪い取ることを目的としている攻撃という違いがあります。


「侵攻」と「侵略」の使い方の違い

「侵攻」は、相手側に対して軍事的な手段をもって攻撃することに対して使われる言葉で、奪い取ることが目的の場合とは限らず、中立的な概念となります。

例えば、歴史的な戦争の中で、「侵攻」と表現されているものには、目的として、独裁政権に対しての民主主義の開放や、現地に在留する自国民の保護、周辺地域での安全確保、独裁者の逮捕などの大義名分が掲げられています。

「侵攻」には、将来的な相手側からの侵略に対抗することを目的として、町や工場などを破壊することや略奪することなどがあります。

第二次世界大戦では、日本が侵略戦争(アジアの植民地解放を目的とした侵攻という主張もあります)を仕掛けたことで、アメリカに沖縄が「侵攻」し、占領されていますが「侵略」したとは表現されていません。

北方領土はソビエトによってポツダム宣言後に「侵攻」されていますが、日本が降伏した後にも「侵攻」されているため、状況的に「侵略」と呼べる可能性があります。

「侵略」は、奪い取ることを目的としている攻撃に使われる言葉ですが、国際的に定義が確定していない表現でもあります。

これは、立場や状況によって良い方向にも悪い方向にも傾く可能性があり、定義を設けてしまうと抜け道が発生してしまう可能性があるためです。

「侵略」は、国際連合安全保障理事会が認定することになりますが、各国に対する拘束力がないものとなります。

また、広義には、武力を用いずに、経済的に相手の土地を買収することや、多額の資金を援助して負債を理由に実質的な支配すること、サイバー攻撃、企業などの株式を買収して実質的に支配することなども含まれる場合があります。

「侵攻」「侵略」には、「侵略」を目的とした「侵攻」がありますが、表現として、「侵攻」は中立的な概念となり、「侵略」は、負の概念を持つという関係があります。

また、表現する側の立場によっても違いがあり、攻めた側から見れば「侵攻」と表現しますし、攻められた側から見れば「侵略」と表現されることになります。

「侵攻」は、中立的な概念をもって使われるのに対し、「侵略」は負の概念をもって使われるという違いがあります。


「侵攻」と「侵略」の英語表記の違い

「侵攻」の英語表記は、“invasion”“make inroads”があります。

“invasion”は、目的を問わずに、他国や他の領地に侵入して攻撃する行動をさします。

“make inroads”は、入り込む、侵入する、侵攻するなどの意味と、(企業が市場に)参入するといった意味があります。

“invasion”は、攻撃を主体とした表現になりますが、“make inroads”の方は、侵入したことを主体とした表現になります。

「侵略」の英語表記は、“aggression”“encroachment”“aggression”は、他国への武力侵略といった意味や、攻撃、侵害、敵意といった意味、心理学で攻撃性といった意味があります。

“encroachment”は、侵略、侵犯、侵害、不法侵入などの意味があります。

“aggression”は、武力攻撃をともなった侵略を主体とした表現になりますが、“encroachment”は、土地をおかしていることを主体とした表現になります。

「侵攻」と「侵略」を使った例文

・『中国は台湾に軍事侵攻する可能性があります』
・『第二次世界大戦は、ドイツと独立スロバキアが、ポーランド領内に侵攻したポーランド侵攻を発端としています』
・『アフガニスタン侵攻は、ソビエトが侵攻したあとのアフガニスタン紛争です』
・『日本は、サイバー攻撃のような侵略にさらされている』
・『猫のブリティッシュショートヘアは、ローマ人がイギリスを侵略したときに、ネズミ対策として持ち込んだと言われています』
・『実質的には侵略行為だが、名目上は侵攻です』

「侵攻」と「侵略」の類語

類語には、占領、侵犯があります。

占領とは、一定の場所を占有することです。

軍事的には、他国の領土や拠点などを武力行使などによって支配下におくことです。

侵犯とは、他国の領土や権利などを不法におかすことで、主に侵入したことに対して使われることになります。

侵犯して占領することは、侵略となる場合と、侵攻と成る場合があります。

「侵略」の対義語

対義語には、防衛、自衛があります。

防衛とは、他からの攻撃に対して防ぎまもることです。

自衛とは、他からの攻撃や侵略を自分の力で防ぐことです。

侵略戦闘と自衛戦争や防衛戦争は、必ずしも反対の意味を持つわけでは無く、戦争当事者国にとっては、すべての戦争が自衛戦争や防衛戦争となるため、終戦後に立場が入れ替わってしまう可能性があることに注意が必要です。

まとめ

「侵攻」「侵略」について説明しました。

「侵攻」は、他国や他の領地に侵入して軍事的な手段をもって攻め込むことなのに対し、「侵略」は、奪い取ることを目的としている攻撃という違いがあります。

「侵攻」は、中立的な概念をもって使われるのに対し、「侵略」は負の概念をもって使われるという違いがあります。

「侵略」は、直接的な軍事的な手段に限らず、間接的な内乱先導や、サイバー攻撃などに対しても使われます。