この記事では、「備える」と「供える」と「準備する」の違いを分かりやすく説明します。
「備える」とは?
必要な種類と数を欠けることなく用意するが大意です。
そこから、複数の意味が派生しました。
物事に対する必要な準備を怠りなく整える「用意」の意、不足なく揃えて設備として置くモノに対する「備品」などの使い方、欠けることなく身につけ、自身のものとして保持する「品位や威厳、知識」などに対する用法などがあります。
「備える」の例文
・災害対策は、常日頃からの備えが重要で、防災グッズは、家族構成と人数、持病や年齢などの諸条件・住居、学校、職場などの地形、距離・発生し得る災害の種類などに応じて各自、総合的に判断して備えるとともに、防災備品も定期的に確認する必要があります。
・発災時には交通機関や避難所などでも、日常とはかけ離れた厳しい状況に置かれますが、交通機関の職員や行政職員などにままならない状況への苛立ちをぶつけることのない品位や、非常時に慌てふためかなくても済む知識や準備を日頃から備える方が、生存率が上がる可能性があります。
「供える」とは?
神仏や故人などに捧げ物として差し上げることを指します。
「供える」の例文
・人柱や人身御供は、神仏などへの捧げ物として人間の命と身体を供えたもので、そこから転じて、集団や個人の利益の為に理不尽なことを特定個人に強いる状況も指すようになりました。
・大規模建築や、堤防や橋などの河川構造物を建築する際は、特に難事業を成就する為、人間を人柱として供える風習があり、人間を生きたまま基礎の土中に埋め、または水中に沈めましたが、現在も、新しいOSやアプリケーションのリリース直後には、リスクを承知で敢えて利用する者などを指すネットスラングとして言葉が生きています。
「準備する」とは
あることをする為に必要な物や態勢を事前に整えることを指します。
類語として、用意や支度があります。
「準備する」の例文
・オンライン講義で使う資料は事前に準備するものですが、パワーポイントなどで対面授業と同じ形式の資料を作成し、単にこれを読み上げただけでは、資料配布だけで事足りる為、ZOOMなどを介する必要性が乏しくなりますので、特にライブ配信のオンライン講義では、対面授業とは異なるアプローチが必要になってきます。
・民事訴訟に於いて、事実関係について当事者間に争いがあって争点や証拠を整理する必要がある事件では、裁判所は、効率よく集中して訴訟を行えるように準備する為、弁論準備手続、準備的口頭弁論、書面による準備手続をしますが、この三種類の準備は事件の性質や内容に応じて裁判所が最適な手続きを選択します。
「備える」と「供える」と「準備する」の違い
備えるは、事前にわかっている必要な種類と数を欠けることなく用意することを意味します。
供えるは、神仏や故人などに対して、捧げ物をする祭祀や供養の場面などで使われる言葉です。
準備するは、特定の何かをする為に必要な物や態勢を整えることを指します。
まとめ
台風の進路予想図が発表された後、非常持ち出し袋の用意や、スマートホンの充電など積極的な行動の他、到達予想日に予定していた川でのキャンプを中止することも、広い意味では台風に備える行動と言えます。
よくある誤変換は、備える/供えるですが、供えるはお墓の花や人柱の方だと覚えると、間違いに気付きやすくなります。
録画タイプのオンライン講義でも、何の準備もせず漫然と視聴するだけでは頭に入りませんので、学生側も、事前に教科書の該当箇所を読むなどの準備は必要です。