この記事では、「補正」と「調整」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「補正」と「調整」の違い
「補正」には、2つの意味があります。
1つめは、足りないところを補って正すことです。
もう一つは誤差を取り除いて正しい値を求めることです。
「調整」には、ある基準にあわせて正しい状態にすること、過不足を正してバランスが取れた状態にすることという意味があります。
どちらの言葉にも、正しい状態にするという意味が含まれていますが、どのようにして正しい状態にするのかという点で意味が異なります。
「補正」の場合は、補って正すこと、また誤差を除いて正すことです。
「補正予算」というものがあります。
これは、国や地方公共団体の予算で、不足しているものを補うためのものです。
予算は何らかの活動に使われます。
予算が足りなければ活動をすることができず、正しい取り組みがなされなくなってしまうことでしょう。
足りないものを補って正しているので、「補正」といいます。
「調整」の場合は、ある基準があって、それにあわせるように正していき、バランスをとることです。
靴には、ちょうどよい履き心地があります。
ぶかぶかでは歩いているときに靴が脱げそうになってしまい、きつくては足が入らなかったり、入ったとしても足指が靴の中で曲がって痛いです。
ぶかぶかな状態もきつい状態も、ちょうどよい状態ではありません。
ちょうどよい状態を基準だとすると、それにあわせることを「調整」といいます。
ぶかぶかな靴であれば、中敷きや靴紐の縛り方で「調整」できます。
「補正」と「調整」の使い方の違い
補って正すことについて「補正」を使用します。
「補正予算」の場合だと、足りない分の予算を追加して正しています。
ある基準にあわせるように正して、バランスをとることについて「調整」を使用します。
「補正」と「調整」の英語表記の違い
「補正」は英語で“revision”と表現をします。
「調整」は英語で“adjustment”と表現をします。
「補正」の意味
「補正」には、2つの意味があります。
1つめは、足りないところを補って正すことです。
「補」という漢字には、おぎなうという意味があり、「正」という漢字には、ただしい、ただすという意味があります。
化粧品には「補正下地」と呼ばれるものがあります。
これは、肌の色をよく見せるために使われるものです。
赤みが気になる、くすみが気になる、血色が悪いといった状態が、何かが足りない状態だとすると、そこに「補正下地」という色を持つものを足して、自分が正しいと思う色にします。
たとえば、ピンク色の下地だと血色をよく見せる、イエローの下地だとくすみやシミを目立ちにくくする、グリーンの下地だと肌の赤みを抑える、パープルの下地だとくすみを目立ちにくくするといった働きがあります。
何かを補って肌の色を正しているので「補正」といいます。
カメラには、「手ぶれ補正」という機能が備わっていることがあります。
200mmの望遠レンズの場合は、1/250秒より速くシャッターボタンを押さないとぶれることになります。
素人が素早くぶれずにシャッターを押すことは難しいです。
カメラの「手ぶれ補正」は、ぶれてしまったところを補うような働きがあり、ぶれのない写真をつくり出すことが可能です。
これも補って正すので「補正」です。
「補正」のもう一つの意味は、誤差を取り去って正しい値を求めることです。
LCRメータというものがあり、この装置には「補正機能」が備わっています。
LCRメータにはゼロ点があり、このずれが測定値に対して無視できないとき、そのずれを取り去るようにして働き、正しい値が導きだされます。
1つめの意味は、足りないところを補うことですが、2つめの意味は足りないのではなく誤差があり、誤差を正すことの意味になります。
「補正」の使い方
日常では、足りないところを補って正すことの意味で使用する場合が多いです。
美容に関心がある方の場合だと、「補正下地」「補正下着」など「補正」を使った言葉をよく見聞きすることでしょう。
カメラの場合だと、「手ぶれ補正」「露出補正」などの機能があります。
「補正」を使った例文
・『補正効果が高い下地』
・『補正予算の案を出す』
・『自動で補正してくれる』
・『傷んだ部分を補正する』
「補正」の類語
「補足」が類語です。
不十分なところを補うという意味があります。
「補正」の対義語
対義語はありません。
「調整」の意味
「調整」とは、ある基準にあわせて正しくすること、全体のバランスが取れた状態に整えることです。
「調」という漢字には、ととのう、ととのえる、つりあうという意味があり、「整」という漢字には、ととのえる、ととのうという意味があります。
音楽を聴いていて、音が大きいと感じたとします。
音が大きいというのは、ちょうどよいと思う音の大きさに比べて、程度が大きいということで、ある基準が存在していることになります。
音が大きいときには、音を小さくします。
基準にあうように整えているのです。
こういったことが「調整」です。
お菓子作りをするとき、レシピと違った材料を使ったり、自分好みの甘さにしたりするときに「調整」をします。
レシピとは違った材料を使用すると、水分が少ない・多い、甘さが足りない・強いといったことが起こります。
ちょうどよいと感じる基準にあっていないのです。
そこで、砂糖を多くしたり少なくしたり、粉の量を多くしたり少なくしたりして、ちょうどよい水分量や甘さに整えます。
ある基準に整えているので「調整」といいます。
「調整」の使い方
全体にバランスのとれた状態に整えることについて使用をします。
お菓子の場合だと、ある部分はすごく甘く、ある部分は甘さが足りないといったものではなく、どこを食べてもちょうどよいと感じる甘さであるといったことが、全体のバランスがとれているといえます。
「調整」を使った例文
・『座席の座り心地を調整する』
・『レバーを調整する』
・『サイズを調整できるサンダル』
・『朝日を浴びて体内時計を調整』
「調整」の類語
「調節」が類語です。
ほどよい状態にするという意味があります。
「調整」の対義語
対義語はありません。
まとめ
2つの言葉には正すという意味が含まれていますが、どのように正すのかという点で意味が違います。