この記事では、「微妙」と「絶妙」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「微妙」と「絶妙」の違い
「微妙」も「絶妙」も、どちらも「妙」という漢字が使われています。
しかし、この二つの言葉には意味の違いがあります。
「微妙」は「とても細かくて複雑である」という意味の語です。
「複雑で味わいがある」というよい意味でも用いられますが、反対に、「よくない」という気持ちを婉曲的に表す場合にも使われます。
これに対し「絶妙」は、はっきりとした誉め言葉です。
「絶妙」とは、「他の追随を許さないほど抜きんでて優れている」ということです。
「微妙」と「絶妙」の使い方の違い
例えば、「その役者の演技は微妙だった」と用いた場合、「演技があまりよくなかった」という意味であることが多いです。
しかし「その役者の演技は絶妙だった」と使った場合は、確実に「演技はとても素晴らしかった」という意味になります。
「微妙」という語は「細かい」「複雑だ」「判定が難しい」等、様々な使い方があります。
「よくない」という意味の婉曲的な表現で用いられる場合もあります。
しかし「絶妙」は、対象が「素晴らしく優れている」ときに用いられます。
「微妙」と「絶妙」の英語表記の違い
「微妙」の英語表記は“subtle”です。
「はっきりしない」という意味合いで用いる場合は、“unclear”を使います。
「絶妙」を英語で表現すると“exquisite”です。
「微妙」の意味
「微妙」は、非常に多くのニュアンスを含む言葉です。
もともとは「簡単に言い表せないほどに細かく、複雑であるさま」という意味の語でした。
それが転じて「複雑で、判定することが難しい」という意味を持つようになり、「きわどくてどちらかよくわからない」ということについても「微妙」が用いられるようになりました。
さらに、「わからなかった」「できなかった」「つまらなかった」等、何らかの問いかけに対してネガティブな気持ちを表す際、「微妙」という返答が使われることもあります。
また、「繊細でなんとも言えない美しさや味わいがあるさま」も「微妙」と言う言葉で表現されます。
文脈によってどういった意味で「微妙」が使われているのか、都度判断していく必要があります。
「微妙」の使い方
例えば「微妙に色が違う」と用いた場合は、「一言で言い表せないほど僅かに、色が違う」という意味になります。
「どちらが勝ったのか微妙だ」と使った場合は、「どちらが勝ったのか判定が難しい」という意味です。
「今日のご飯の味付けはどうだった」という質問に対し「微妙だった」と答えた場合、「あまりおいしくなかった」というネガティブな気持ちが婉曲的に表現されています。
「この微妙な筆遣いが素晴らしい」など、誉め言葉と一緒に「微妙」が用いられた際は、「味わい深い」「繊細で美しい」という意味で使われている場合が多いです。
「微妙」を使った例文
・『日本語と英語で単語の意味が微妙に異なるので、英作文をするときはよく辞書の例文を調べた方がよい』
・『今日は出かける予定だったが、朝起きたら天気が微妙だったので、ずっと家にいることにした』
・『この作家さんの微妙な言葉遣いのニュアンスが私は大好きです』
・『テストができたかどうか息子に質問したら、微妙、という返事があった。あまり勉強している様子がなかったので、当然の結果である』
・『カレーの味付けを微妙に変えてみました』
・『僕の私服を見て、彼女は微妙な顔をした』
「微妙」の類語
「微妙」の類語は「朧」(おぼろ)です。
「朧」とは「ぼんやりしていて、はっきりしない」という意味です。
また、「曖昧」(あいまい)も「微妙」の類語であると考えられます。
「曖昧」とは、「意味がぼやけていて、不確かである」ということです。
「微妙」の対義語
「微妙」の対義語は「大まか」(おおまか)です。
「大まか」とは「細かいことにこだわらない様子」のことです。
「よくない」というネガティブな様子を婉曲的に表した「微妙」の場合、対義語は「絶妙」(ぜつみょう)になります。
「絶妙」とは、「最高に巧みですぐれていること」です。
以下に詳しく解説します。
「絶妙」の意味
「絶妙」とは、「この上なく巧みですぐれていること」です。
「他の追随を許さないほど素晴らしい」「最高だ」という意味の言葉です。
「とてもよいバランスである」という意味で用いられることもあります。
際立ってバランスがよいものを褒める際、「絶妙」という語が使われます。
「絶妙」の使い方
「とても巧みで優れている」や「バランスがよく、素晴らしい」という意味で「絶妙」は用いられます。
例えば、「絶妙にハマる」などのように使います。
これは、「この上なくバランスのよい状態でいる」という意味です。
「絶妙な味付け」と使われた場合も、「味付けのバランスのよさ」を褒めている言葉となります。
「絶妙」を使った例文
・『彼の仕事の采配は絶妙で、部下たちは彼に絶大の信頼を寄せている』
・『彼女の絶妙なバランス感覚は驚嘆に値する』
・『先生はいつも絶妙なタイミングで僕に手を差し伸べてくれます』
・『そのリストランテの看板メニューは、噂に違わぬ絶妙な味付けだった』
・『弓を絶妙に使いこなし、彼女はその曲を弾き切った』
・『筆のタッチ、色使い、描写の繊細さ、どれをとってもこの絵は絶妙です』
「絶妙」の類語
「絶妙」の類語は「洗練」(せんれん)です。
「洗練」とは「優雅であか抜けている」という意味です。
磨きのかかった、よいものに対して用います。
「秀抜」(しゅうばつ)も「絶妙」の類語であると考えられます。
「秀抜」とは、「他よりも抜きんでて優れていること」です。
「絶妙」の対義語
「絶妙」の対義語は「稚拙」(ちせつ)であると考えられます。
「稚拙」とは、「未熟で下手なこと」です。
作品や技術に対して用いる語です。
また、「微妙」(びみょう)も「絶妙」の対義語です。
「微妙」には様々な意味がありますが、「絶妙」を対義語としたときの「微妙」は「よいところがあまりない」ということです。
まとめ
「微妙」と「絶妙」の違いについてまとめました。
「微妙」は「言い表せないほど細かく、複雑なこと」や「きわどくて判断が難しい」ということです。
また、「よくない」という気持ちを婉曲的に表す表現でもあります。
「絶妙」は「最高に優れていること」です。