この記事では、「情」【じょう】と「情け」【なさけ】の意味や使い方を分かりやすく説明していきます。
「情」とは?
人情というように、他人を思いやる心を指すのが「情」【じょう】と言います。
人が持つ感情であり、優しさであったり、人のことを考えて物事を実行するなど人間味溢れる心情を表すわけです。
「情に厚い人」は他人のことであるのに、自分のことのように心配して行動を共にする人情味溢れる人を指します。
しかし、ときにこの「情」が邪魔して相手に深く同情してしまい、惑わされてしまうことで正常な判断を鈍らせてしまうのです。
そんな「情」という漢字には誠意や真心を持って個人的に相手へ情念を持ち、真剣に思いやる気持ちが強く出た人の思いに焦点を当てています。
「情け」とは?
本当であれば、問題を起こした人は罪を償わせるため正当な罰を与えなければならないのですが、「情け」【なさけ】が強く出てしまうことで許してあげたくなる気持ちが強く働いてしまいます。
他者が悪いことをしても、この「情け」という共感感情が働けばいくら裏切られたとしても突き放せなくなり、受け入れてしまうのです。
他人でも寄り添って労わる心を持って、真剣に思いやる気持ちが強く出る者は「情け深い」ところがあり、周囲から頼られる人になります。
風情があり、人の心をも理解できる優しい気持ちを持ち、人としての温かさがある態度で寛容に相手を受け入れられる情があるため、我がままであっても、金遣いが荒い者でも「情け」をかけて接する人を指します。
「情」と「情け」の違い
「情」と「情け」の違いを、分かりやすく解説します。
物事に感じて心が動くのが「情」であり、人が見せるまごころに焦点を当てた感情を表します。
「人情」「愛情」と使うように、相手を思う気持ちに対して使われている言葉です。
自分のことよりも相手を思う気持ちが強く、まるで自分のことのように共感するその心を表します。
もう一方の「情け」は、同情する気持ちに焦点を当てていて、困っている人に配慮し、悪いことした者には恩情をかけて許してしまう厄介な思いやりを指すという違いがあります。
「情」の例文
・『彼氏の深い愛情に包まれる私は一生この人と生きていくと心に誓う』
・『情が湧けば、たとえ相手が陰口を叩く者であっても許してしまう』
強い愛情を感じたとき、自分も本気で向き合うと誓います。
情が湧く人は卑怯な相手であっても受け入れてしまうものです。
「情け」の例文
・『自分を裏切った後輩ではあるが、武士の情けで許してやることにした』 ・『自己中心の彼氏に情けをかけてやれば、調子にのってきたので別れた』 裏切られても許す気持ちが強く表れたときは許しますが、「情け深い」ことをいいことに、調子にのる相手はさすがに嫌になり別れてしまいます。
まとめ
似ているようで、少し違う意味で使われている2つの言葉をご紹介しました。
感情に焦点を当てて相手に同情するときは「情」を使い、共感する気持ちが働いて許す気持ちになるのであれば「情け」を使うと覚えておくといいでしょう。