「取消」と「無効」は違うことを意味するのか。
それとも同じことなのか。
この記事では、「取消」と「無効」の違いを分かりやすく説明していきます。
「取消」とは?
「取消」には「消す」という漢字が使用されています。
「取消」には消してなくすといった意味があり、今までのことを撤回・解消することを「取消」といいます。
一度は契約などを行い成立した行為に対しその契約時に遡ってなかったことにする。
つまり、効力を失うことを「取消」といいます。
契約自体は行われたものの、やはり、その契約をなかったことにしたいといった行為が「取消」です。
「取消」を主張することができる者は制限行為能力者本人となり未成年者も含まれます。
そのほか、詐欺や強迫を受けて瑕疵ある意思表示をした人やそれらの代理人にも「取消」の主張は認められています。
簡単に言えば、「取消」は一度、有効が成立したものに対しなかったもののする行為を意味します。
「取消」の使い方
「取消」は「免許取消」や「予約の取消」「登録取消」「取消理由」などといった言葉で用いられます。
「無効」とは?
「無効」は効力を無くすと書きます。
「無効」の場合、行為そのものがなかったことになる、効力が生じなかったことにするといった意味があります。
「無効」によって、初めからそのような行為はなかったものとすることが可能なのです。
この「無効」は誰でも主張することが可能で誰に対しても主張することが可能です。
「無効」が成立すれば、初めからそのこと自体、なかったことにすることが可能です。
初めから無かったことにすることができるため、基本的には時間の経過など関係なくいつまでも「無効」を主張することができるものとなります。
「無効」の使い方
「無効」は「無効票」や「無効投票」「無効化」「選挙の無効」などといった言葉で用いられます。
「取消」と「無効」の違い
契約などを白紙に戻す行為を意味する「取消」と「無効」ですが、その内容に違いがあります。
「取消」の場合は、一旦契約などは有効となり、その後、「取消」を行うものとなります。
それに対し「無効」は初めから契約などはなかったことにする行為を意味し、主張することができる人や相手にも違いがあります。
「無効」は誰にでも主張することが可能です。
「取消」の例文
・『予約の取消が可能か確認する』
・『登録の取消を求める』
・『担保の取消手続きを行う』
・『違反をしてしまい免許取消処分になってしまいました』
「無効」の例文
・『今回の選挙では数枚の無効票を確認した』
・『アカウントが無効になってしまい困っています』
・『領収証の無効を過ぎてしまいました』
・『この契約は無効となりました』
まとめ
法律行為などでは非常に重要な違いを意味する「取消」と「無効」。
そのため、安易に考えず、それぞれの言葉の意味を十分に理解したうえで「取消」や「無効」に応じることが大切です。