「いかなご」と「こうなご」は見分けがつきにくい魚ですが、その違いについて紹介します。
「いかなご」とは?
いかなごは、春の風物詩といわれることもある魚です。
スズキ目ワニギス亜目イカナゴ科に属する海水魚で、沖縄を除いた日本沿岸に分布しています。
温帯を中心に生息しており、寒帯から熱帯の海域まで生息域は幅広いです。
なぜ、春の風物詩といわれているのかというと、春にしか水揚げされないからです。
いかなごは3年から4年で体長20㎝くらいになるのですが、成魚はあまり食用としては用いられていません。
体長3㎝くらいの稚魚を食べることが多いです。
いかなごの稚魚は、見た目がしらすによく似ています。
12月の下旬から1月上旬にかけて産卵が行われ、2月末頃から3月中旬頃までがいかなご漁の時期になります。
夏になって水温が上がると砂に潜ってしまう性質があるので、水揚げされる時期はとても短いです。
春にしか手に入らないので、春の風物詩と呼ばれています。
また、いかなごは生育環境の変化や乱獲などにより漁獲量は以前に比べると大きく減少しています。
そのため資源調査を行い、漁獲量をコントロールしているところもあります。
いかなごの代表的な料理を挙げると「釘煮」があります。
釘煮は瀬戸内海沿岸の郷土料理として知られており、佃煮の一種です。
醤油やザラメ、ショウガなどで味付けして煮込み、みりんを加えて煮詰めます。
いかなごが釘のように曲がって見えることから釘煮というようになりました。
成魚も食べられないわけではなく、干物などに加工されて販売されることもあります。
「こうなご」とは?
こうなごは、いかなごの稚魚のことをいいます。
主に東日本で用いられている呼び方で、漢字では「小女子」と書きます。
体が小さく女の子のように可愛いという意味で、見た目からこのような名前が付きました。
関西ではいかなごの稚魚のことを「しんこ(新米)」と呼んでいます。
こうなごには、カルシウムや鉄分、リン、ビタミンDといった栄養素が豊富に含まれています。
カルシウムやリンは骨の成長に欠かせない栄養素で、骨粗しょう症の予防にも効果があります。
また、ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収をサポートしてくれる成分です。
塩茹でする釜揚げや干したちりめん等にして食べます。
また、佃煮にして食べることもあります。
「いかなご」と「こうなご」の違い
いかなごとこうなごは同じ魚ですが、こうなごはいかなごの稚魚のことをいいます。
日本各地の沿岸に分布している魚なので、地域によって呼び方が異なります。
西日本ではいかなごの稚魚のことを「しんこ」といい、「こうなご」とはいいません。
また、成長したいかなごのことを北海道では「おおなご」といいますし、東北では「めろうど」、西日本では「ふるせ」といいます。
まとめ
いかなごとこうなごは同じ魚で、こうなごは稚魚のことをいいます。
主に東日本で用いられている呼び方になります。