この記事では、「アワビ」と「トコブシ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「アワビ」とは?
「アワビ」とはミミガイ科アワビ属の巻き貝で、ミミガイ科でも大型の巻き貝を指す総称でもあります。
巻き貝の一種ではありますが貝殻は皿上で巻いた形をしていません。
北海道南部から朝鮮半島や中国北部あたりまでの海域に生息していて、東アジアでは古くから高級な食材として扱われてきました。
浅瀬にも生息していますがある程度深い海底でも棲息可能であり水深20メートルほどまでが一般的な生息域で、コンブやワカメのような褐藻類を食べます。
食材としてはしっかりと存在感のある歯ごたえと磯の香りが特徴です。
貝殻には呼水孔と呼ばれる穴が4個ほど空いていてこの穴から水を吸っては吐いて呼吸します。
「トコブシ」とは?
「トコブシ」とはミミガイ科トコブシ属の巻き貝で、東アジアの中でも日本に近い海域に生息しています。
範囲としては北海道南部から九州北部あたりまでで、水深10メートル程度までの比較的浅い岩礁地帯に生息している巻き貝です。
見た目は「アワビ」と似ていますが育ちきっても「トコブシ」の方が小さく、「アワビ」の子供くらいの大きさまでにしか育ちません。
美味な高級な食材ではありますが、「アワビ」よりとても小さく日本では比較的獲りやすいこと、両者を食べ慣れた食通でもなければ違いがわかりにくいほど食味も近いことから、「アワビ」より安い代用品としても扱われていました。
ただし「トコブシ」は呼水孔が8つと多く形も平らなので、貝を見れば「トコブシ」かどうかは判別できます。
「アワビ」と「トコブシ」の違い
「アワビ」と「トコブシ」の違いを、分かりやすく解説します。
大型で日本だけでなく中国や韓国でも食べられていた高級食材が「アワビ」で、小さく高級なものの「アワビ」より安く代用品としても扱われていたのが「トコブシ」です。
「アワビ」は30センチほどの大きさになるので刺し身などにして食べられますが、「トコブシ」は10センチにもならないので身を切らずに丸ごと調理される料理も少なからずあります。
生物としては「アワビ」の方がより深い海域にまで耐えられユーラシア大陸側の海域でも穫れて生息域が広く、「トコブシ」は日本海でも日本よりの海域で水深も比較的浅く、狭い範囲で生息しています。
見分け方としては貝殻に開いている呼水孔がポイントとなり、「アワビ」は4つ程度で口の部分が盛り上がっているのが特徴ですが、「トコブシ」は穴の数が8つと多く口の部分も平らな形をしているのが特徴です。
まとめ
大型でより高級なのが「アワビ」、小さく代用として使われることもしばしばあるのが「トコブシ」と覚えておきましょう。
どちらも刺し身を貝殻に盛り付けて提供されることがありますが、貝殻に開いた呼吸用の小さい穴が口の盛り上がった4つ程ならそれは「アワビ」、口が平で8つほどならそれは「トコブシ」と見分けられます。