この記事では、「余裕」と「猶予」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「余裕」と「猶予」の違い
「余裕」と「猶予」の違いには、まず、自分で持つものか、人から与えられたものか、といった違いがあります。
「余裕」は、自分自身が持つゆとりのことで、「猶予」は、人や、その状況から与えられたもの、ゆとり、時間というものになります。
また、「余裕」は、自分自身の気持ちのゆとりだけではなく、ものの数量、場所などにおいてもゆとりがある状態を意味します。
一方、「猶予」は、期限や時間を延ばす、先延ばしにするといったことを意味します。
このような違いがある「余裕」と「猶予」。
より詳しい両者の違いについては、以下のようになります。
「余裕」と「猶予」の使い方の違い
「余裕」は、気持ちのゆとり以外に時間や数、お金のゆとりを表す際に使用します。
「お金に余裕がある」という場合は、自分自身が使うことができる限度額まで達せずお金にゆとりがあるといった際に用います。
「時間に余裕がある」といった場合も、予定していた時間までゆとりがあるといった状態となります。
ただし、同じように時間的にゆとりがある場合において、「猶予」を用いる場合、「時間に猶予がある」といった使い方は行われません。
その理由は、「猶予」には、初めから時間的な意味が含まれているためです。
そのため、「時間に猶予がある」、「時間的な猶予」などといった使い方は行わず、「猶予がある」、「猶予がない」といった使い方のみとなります。
「余裕」と「猶予」の英語表記の違い
「余裕」の英語表記は、allowances; additional coverageです。
「余裕がある(ない)」は、have [have no] 《money》 to spare、can [cannot, 【形式ばった表現】 can ill] afford 《to do, something》. 「時間的な余裕」は、the condition of having spare time 「5分の余裕」は、a margin of 5 minutesとなります。
「猶予」の英語表記は、postponement; hesitationです。
「猶予する, 猶予を与える」は、give somebody 《a fortnight’s》 grace; grant somebody a postponement 《of five days》、〈刑の執行を〉 grant [give] a reprieve [respite]; reprieve 「猶予期間」は、《give somebody》 an extension of time. 「執行猶予」は、stay of execution―probationとなります。
「余裕」の意味
気持ちやものにゆとりがあることを意味する「余裕」。
必要以上に余っていることや限度まで達せず、余っている状態。
まだ、入れることができる、収めることができる状態を意味する言葉です。
そのほか、心にゆとりがある状態を意味することから、物事に対し自信がある状態も意味します。
「余裕」の使い方
気持ちや時間、数量、お金などに対し、ゆとりがある状態を意味する「余裕」。
そのため、「余裕」の使い方としては、「お金に余裕がある、余裕がない」、「時間の余裕がある、余裕がない」といった使い方が主な使い方となります。
また、「余裕しゃくしゃく」や「余裕漂う」などといった使い方もあり、この場合の意味としては、気持ちに余裕がある、大丈夫だと自信がある、といった意味となります。
「余裕」を使った例文
・『今月は節約に励んだおかげで、月末になっても金に余裕があって助かっている。』
・『出発までに少し余裕がある。』
・『人気のライブだったが、席に余裕があって助かった。』
・『度胸のある彼は、余裕しゃくしゃくで舞台に上がった。』
「余裕」の類語
慌てない様子、冷静な様子を意味する「余裕」の類語には、「気が長い」、「平静を保つ」、「克己」、「冷徹」、「無頓着」などがあります。
また、非常に簡単を意味する場合は、「容易」、「序の口」、「片手間」、「易しい」、「たやすく」などがあります。
そのほか、余っている状態では、「残り」、「ゆとりがある」、「余白」などとなります。
「余裕」の対義語
「余裕」の対義語は、「逼迫」です。
「逼迫」には、行き詰まって余裕がないという意味があります。
「猶予」の意味
期限を先延ばしにすることを意味する「猶予」。
先延ばしにし、なかなか決めない、実行しないといった意味もあります。
「余裕」のようにゆとりがあるというよりも、単に先延ばしにする、決定すること、実行することをぐずぐずと引き延ばすといった意味が強い言葉となります。
「猶予」の使い方
先延ばしにする、決定や実行をなかなか行わないといった意味がある「猶予」。
そのため、「猶予」の使い方としては、「一刻の猶予もない」、「猶予を与える」、「執行猶予」、「猶予する、猶予できない」、「ご猶予」といったものとなります。
「猶予」を使った例文
・『彼は、執行猶予中に同じ過ちを犯してしまった。』
・『今回は、どんな理由があっても納期を猶予することはできません。』
・『なんとか、支払い猶予を延ばしてもらうことができ助かった。』
・『がんで闘病中の父は、一刻の猶予も許されない状態が続いています。』
「猶予」の類語
期間を後ろに持っていくといった意味の「猶予」の類語としては、「引き延ばす」、「後回し」、「出し渋る」などがあります。
決心が付かない類語としては、「辟易」、「遅疑」などがあります。
「猶予」の対義語
「猶予」の対義語は、「即決」、「即断即決 (そくだんそっけつ)」、「即時実行」「即時決断」など。
これらすべて、その場で決断するといった意味となります。
まとめ
以上が、「余裕」と「猶予」の違いです。
両者には、はっきりとした違いがあるため、必要に応じた使い分けが必ず必要です。