「乾く」と「渇く」はどちらも「かわく」と読みますが、どのような意味の違いがあるのでしょうか。
この記事では、「乾く」と「渇く」の違いを分かりやすく説明していきます。
「乾く」とは?
「乾く」【かわく】とは、ものに含まれる湿気や水分がなくなる現象です。
または、感情が起こらない無味な心の状態を指します。
物理的な現象の「乾く」は、物に含まれる水分や空気中に含まれる水蒸気が取り除かれ、水分を含まない状態に変わっていくことです。
水分を含んだ物質に風や熱を当てると、空気に触れている表面の水分が分子に変わり、それが物質から空気中へ拡散されるため物質の湿気や水分がなくなります。
また、空気は雨や霧などによって含まれる水分量(湿度)が増えますが、風の強い日は空気が乾きやすくなります。
気温の低いときは大気中に保存できる水蒸気の量が少なくなるため、冬も空気が乾きやすくなります。
心の状態を表す「乾く」は、感情や心にうるおいが感じられず無機質な感じのすることです。
心に水分が含まれるわけではありませんが、この場合の「うるおい」は心の豊かさな情緒を指しており、情緒の感じられない無味な様子が「乾く」という表現で比喩されています。
「乾く」の言葉の使い方
「乾く」は自動詞であり、物や空気中に含まれる水分がなくなっていく自然現象を指すときに使います。
他動詞は「乾かす」です。
これは、人が風を当てるなどして物に含まれる水分を意図的に減らすことを表します。
心の状態を表す「乾く」は、むなしさや味気ない感じがするさまを例えるときに使います。
たとえば「乾く」の使い方には以下の例文が挙げられます。
・『風を当てたほうが洗濯物が早く乾く』
・『心が乾いていて、美しい絵画を見ても何も感じない』
「渇く」とは?
「渇く」【かわく】とは、体が水分を欲して喉がかわくことです。
または、気持ちが満たされないさまを表します。
「渇」は「水分がなくなる」という意味を持つ漢字ですが、「カラカラになる」というニュアンスを持っており、「渇く」は単に喉がかわくのではなく「ひどく喉がかわく」状況を表します。
また漢字の「渇」には「むさぼる」という意味もあり、「渇く」は心が満たされず、心の穴を埋めてくれるものを強く求める様子の比喩としても使われています。
「渇く」の言葉の使い方
「渇く」は喉がひどくかわくさま、心が満たされずうるおいを求めるさまを表すときに使います。
たとえば「渇く」の使い方には以下の例文が挙げられます。
・『のどが渇いているときに飲むビールは格別においしい』
・『渇いた心を満たすため、つい過食に走ってしまう』
「乾く」と「渇く」の違い
「乾く」と「渇く」はどちらも水分がなくなることに関連していますが、状況や使い方が異なります。
「乾く」は「物理的に物や空気に含まれる水分がなくなること」または「心のうるおいがなく、無味に感じられるさま」を意味します。
一方「渇く」は「喉がひどくかわくこと」または「心が満たされず、心の穴を埋めるうるおいを強く求めるさま」を表します。
「乾く」と「渇く」のどちらをあてるかによって文のニュアンスがらりと変わってくるので、正しく使い分ける必要があります。
まとめ
同音異語の「乾く」と「渇く」は同じ意味を持つように見えますが、表している状況は異なります。
それぞれが持つ意味を理解して、適切に使い分けていきましょう。