この記事では、「横断」と「縦断」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「横断」と「縦断」の違い
「横断(おうだん)」とは、横方向に断ち切ることや、横方向に区切ることです。
端から端までわたることなどの意味もあり、東から西もしくは西から東の横方向に大陸や大海を通り過ぎることといった意味もあります。
チームや集団、異なる組織、分野、種類などの枠組みにとらわれずにつながることといった意味合いもあります。
「縦断(じゅうだん)」とは、縦方向に断ち切ることや、縦方向に区切ることです。
北から南もしくは南から北の縦方向に大陸や大海を通り過ぎることといった意味合いもああります。
「横断」と「縦断」の使い方の違い
「横断」と「縦断」の大きな違いは、横方向か、縦方向かになりますが、断ち切ることと、区切ること、大陸や大海を通り過ぎることに対して使われるという点は共通しています。
そもそも縦と横というのは、あるものについて、縦や横の基準を設けなければならないわけで、正方形のように縦と横を決めるときに、見る方向によって変化してしまうものがあります。
縦と横について基準があるものについていくつか例をあげます。
物体の見立てでは、立体や平面の一番長い方向を縦、その他の垂直方向にある辺を横といいます。
地図では、緯度を縦の変化として緯線が横の線になり、経度を横の変化として経線が縦の線になります。
地球上の重力では、重力の働く方向を縦として、それと直行する方向を横と表現しています。
また、地球本体は、遠心力の影響で楕円形の東西に長く南北に短い構造になっており、物体の見立てで考えると、東西方向が縦で、南北方向が横になりますが、状況に合わせて基準を設けて判断する必要があります。
このような話を前提とすると、「道を横断する」という例では、目に見えるスケールの道という長いものを縦の基準として、横切ることから「横断」が使われることになり、「道を縦断する」という使い方にはめったになりません。
地図の例では、経度を横の変化としていることから、東西が「横断」となり、緯度を縦の変化としていることから南北が「縦断」といった使われ方になります。
「横断」の方は、使われる対象が多く、より日常的な言葉だったことから、異なる組織、分野、種類などを超えてつながりをもつことに対して使われるようになっています。
この「横断」を使った例としては、異なる組織がつながった「横断組織」、複数の大学生や専門学校生が参加できる「大学横断型ミスコン」、異なる省庁が共同して取り組む「省庁横断」といった使い方があります。
「横断」は、横方向に、断ち切ることや区切ること、大陸や大海を通り過ぎることの他に、道をわたること、異なる組織、分野、種類などを超えてつながることに使われるのに対し、「縦断」は、縦方向に、断ち切ること、区切ること、大陸や大海を通り過ぎることに使われるという違いがあります。
「横断」と「縦断」の英語表記の違い
「横断」の英語表記には、“intersect”、“traverse”、“cut widthwise”、“cross”などが考えられます。
“intersect”は、(・・・を)横切るという意味があります。
“traverse”は、(山などを)越える、(場所を)横切る、横断するなどの意味があるので、状況によっては縦断するという意味もあります。
“cut widthwise”は、切るという意味の“cut”と、横に長いという意味の“widthwise”を合わせて横方向に切るといった意味となります。
“cross”は、横断する、渡る、横線を引く、十字に切るなどの意味があります。
「横断歩道」の英語表記は、アメリカで“crosswalk”、イギリスで、“zebra crossing”となります。
「縦断」の英語表記には、“cut lengthwise”、“run longitudinally”が考えられます。
“cut lengthwise”は、“cut”と、縦に長いという意味の“lengthwise”を合わせて、縦方向に切るといった意味となります。
“run longitudinally”は、走るという意味の“run”と、経線の、縦のといった意味の“longitudinally”を合わせて、南北に走るといった意味になります。
“longitudinally”は、経度の意味を持つ“longitude”が変化した言葉なので、スケール感としては大きいものになる傾向にあります。
「横断」と「縦断」を使った例文
・『安全のために横断歩道を横断するようにしましょう』
・『アメリカ大陸を横断する』
・『問題を解決する為に横断組織を作り上げる』
・『居住区を縦断する道路がある』
・『日本を縦断する』
・『服を作るために布地を縦断する』
「横断」の類語
類語には、通り過ぎる、通過、横切る、渡るがあります。
通り過ぎるは、そこを通って先へ進むことです。
通過は、通り過ぎること、止まらずにある場所を通り過ぎること、審査や試験などに通ることです。
横切るは、横方向に通り過ぎることです。
渡るは、一方の側から他方へ超えていくことです。
「横断」の対義語
対義語は「縦断」です。
「縦断」の類語
類語には、切断、分断があります。
切断は、物をたち切ることや切り離すことです。
分断は、一つにつながっているものを分かれた状態に切り離すことや切り離されることです。
まとめ
「横断」と「縦断」について説明しました。
「横断」は、横方向に、「縦断」は縦方向に、それぞれの方向に対して、断ち切ることや、区切ること、通り過ぎることといった意味があります。
「横断」は、道をわたることに対してと、異なる組織、分野、種類などを超えてつながることに対しても使われるという違いがあります。