この記事では、「以前」と「先日」の違いを分かりやすく説明していきます。
「以前」とは?
「以前」は「その時点から前」を意味する言葉です。
この言葉を使う多くの場合は、時間的な「以前」、つまり過去を示して使用されます。
「以」は「範囲や方向などを示す際の基準点」を表す言葉として使用されます。
「以前」のほかにも、「以上」、「以降」、「以内」など、日常的に使用する言葉で多く使われているのです。
また、過去を示す目的で使用した場合、その示す範囲は比較的広いと言えます。
昨日のことも「以前」ですし、数年前のことも「以前」なのです。
しかし、「以前」と使用する場合は、過去の時点が曖昧なことが多いでしょう。
つまり、先日や先週など近いものでもなく、昨年や三年前などの具体的な表現ができない、もしくは避ける場合に「以前」を使用するのです。
「先日」とは?
それでは「先日」とはなんでしょうか。
「先日」は「近い過去のある日」を示します。
ここに3日前まではOKで、7日以上前はNGなどの明確な基準はありません。
しかし、少なくても1年前を先日とは言いませんし、3か月前で使うと大分違和感があるという程度です。
たとえば「先日会社を訪問しました」と聞けば、せいぜい一か月程度の範囲で起きた事象だろうと、相手は想像するのです。
このように、曖昧な範囲を示すのが「先日」という言葉です。
曖昧なことは必ずしも悪いものではありません。
曖昧であるという事には、使いやすくて汎用性が高いという側面もあるのです。
「以前」と「先日」の違い
それでは「以前」と「先日」の違いはどこにあるのでしょうか。
これは、過去を示す範囲にあると言えます。
「以前」は、現時点より過去であり、比較的古い過去を示します。
また、その過去は特定の日を示しても使えますし、特定の期間を示しても使用できます。
いっぽうの「先日」は比較的近い過去を示します。
そしてその過去は、範囲ではなく特定の日を示すのです。
このように「以前」と「先日」は、どちらも過去を示すための言葉です。
しかし、その示す範囲に違いがあり、使い分ける必要がある言葉なのです。
「以前」の例文
「以前」を使用した例文を挙げます。
「以前」が比較的古い過去を示すものであることを、意識して使用するとよいでしょう。
・『以前お会いした気がします』
・『以前から存じ上げております』
「先日」の例文
「先日」を使用した例文を挙げます。
「先日」が比較的近い過去を示すものであることを、意識して使用するとよいでしょう。
・『先日教えていただきました』
・『先日から気になっていました』
まとめ
このように、「以前」と「先日」は、どちらも今よりも過去を示す言葉として使用されます。
しかし、その指し示す範囲には違いがあります。
「以前」が比較的古い過去を示すのに対して、「先日」は比較的近い過去を示す言葉なのです。
この違いを理解していれば、二つの言葉の使い分けに間違うことはないでしょう。