本や論文を深く読むことを指す言葉として「解読」と「読解」があります。
このふたつの言葉は土のような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「解読」と「読解」の違いについて解説します。
「解読」とは?
「解読」とは、「そのままでは読むことができない文章を読めるように解きほぐすこと」を意味する言葉です。
「解読」の使い方
「解読」という言葉は謎めいて書かれた文章やひどいくせ字で書かれた原稿など「通常の方法では読むことのできない文章を知識や手がかりを頼りに読めるように解きほぐし内容を明らかにすること」を表します。
対象となるのは通常の文体や文字では書かれていない文章であり、誰が見てもそのまま読める素直な文章に対しては「解読」という表現を用いません。
一般的に「解読」は「暗号」とセットで用いられることが多い言葉です。
「第三者が見てもそのままでは読めない文章をヒントや鍵を用いて読める状態にする行為」を「解読」と呼びます。
文章の作成者が意図的に読めなくしているものだけでなく今では使われていない古代の文字を用いて記された文や悪筆で読みにくい文章など意図せず読めなくなってしまった文章を読めるようにする行為も「解読」と表現します。
「読解」とは?
「読解」とは、「文章を深く読み込み言葉の裏に隠された異なる意図や作者の真意などを推し量ること」を意味する言葉です。
「読解」の使い方
「読解」という言葉は「読み解く」ことを表しています。
読み解くとは「文章を深く理解すること」を意味する言葉で、読んだだけで理解できる表面的な内容だけではなく「文章を読むことで導き出される理論的な帰結や意味までをも理解すること」を指して「読解」と表現します。
国語教育では「文章の本質的な意味を呼んで理解すること」を指す言葉が「読解」です。
文字を読める、単語の意味を理解できるというだけではなく「文章構造や国語表現を駆使して表される本質的内容を的確につかみ納得すること」を意味しています。
「解読」と「読解」の違い
「解読」と「読解」のちがいは「目的」です。
「解読」はそのままでは読めない文の文字や単語の謎を解き明かし一般的な形に直して読めるようにすることを目的としています。
「解読」した結果として表れるのは「通常の方法で読むことのできる文章」です。
文章には作者の心情を推し量ったり言葉に隠された意味を推察したりといった深く読む読み方もありますが「解読」というのはそのような文章の深い意味を読むことを指しているのではなく「文章として成立していないものを解き明かして成立する形にすること」を指す言葉です。
「読解」の目的は文章の真意や本質を理解することでありただ文字を読むだけでなく文章から感じとれる深みを求める行為を指します。
読めない文章を読めるようにするのが「解読」、読める文章から書かれていない内容を推し量るのが「読解」という違いで区別されます。
まとめ
「解読」と「読解」が指す内容はまったく異なります。
対象となる文章はどのような形なのか、何のための作業なのかによって区別されるのでそれぞれの正確な意味を知り適切に使い分けてください。