工事現場の話題では「解体」「撤去」という言葉を目にしますが、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「解体」と「撤去」の違いを分かりやすく説明していきます。
「解体」とは?
「解体」【かいたい】とは、一つのかたまりをばらばらに分けることです。
主に、建築物や機械などを壊してばらばらにすること、生物の体を小さく切り分けること、組織を解消して機能を失わせることを指します。
使われている漢字に目を向けてみると「解」はばらばらにすること、「体」は物や生物のからだを意味しており、これらを組み合わせた「解体」は、物や生物の形を小さく分けることを表しています。
「解体」は不要になった建築物や車・航空機などの輸送機器を壊してばらばらに分けること、または家畜や魚をさばいて食用に適した状態に切り分ける工程を指して使われます。
類義語は「分解」【ぶんかい】、「解剖」【かいぼう】、「解消」【かいしょう】です。
機械や畜肉などをばらばらにすることは「分解」、生物の体を分析するために切り開くことは「解剖」、組織をなくすことは「解消」と使い分けるとよいでしょう。
「解体」の言葉の使い方
ものをばらばらにしている様子は「解体する」と表現します。
また「解体工事」「財閥解体」のように、名詞に組み合わせ、ものがばらばらになる様子を示します。
「解体」の言葉を使った例文には以下があります。
・『廃車を解体して部品をリサイクルする』
・『マグロの解体ショーは人気の高いイベントだ』
・『経営を立ち直すため組織を解体する』
「撤去」とは?
「撤去」【てっきょ】とは、その場にあったものを取り去ることです。
主に建築物や機械、不要な物を取り除く作業を指します。
漢字の意味を見てみると「撤」はひきあげること、「去」はとりのぞくことを意味しており、これらを組み合わせた「撤去」は、ものを取り除きその場からなくすことを表しています。
「撤去」は主に、設置されている建築物や機械などを引き上げること、不要になったものをその場から取り去ることを指します。
取り去ったものは廃棄処分することもあれば、ただほかの場所へ移動させただけという場合も含まれます。
類似語は「除去」【じょきょ】、「撤収」【てっしゅう】です。
「除去」は特に不要なものを取り除くという意味合いが強く、「撤収」は軍隊など出向していた人が引き上げることを表します。
「撤去」の言葉の使い方
物を引き上げている様子は「撤去する」と表現します。
また「撤去作業」「撤去処分」のようにほかの名詞と組み合わせて、ものを取り除く作業を表します。
「撤去」の言葉を使った例文には以下があります。
・『不法投棄された家庭ごみを撤去する』
・『古いビルの撤去作業をおこなう』
「解体」と「撤去」の違い
「解体」と「撤去」の違いを、分かりやすく解説します。
「解体」の主な意味は物体をばらばらに分けること、「撤去」はその場から引き上げる、置いてあった物体を取り除くことです。
「解体」はひとつのかたまりだったものを小さく崩すことですが、その場から取り除くとは限りません。
一方、「撤去」はその場からものを取り除きますが、ものをばらばらにするとも限りません。
このように、どちらも存在していた物体の状況を変える工程を表していますが、その状況は異なっています。
まとめ
「解体」と「撤去」は漢字の意味に注目してみると、それぞれ異なる意味を持っていることがわかります。
「解体」は物体を部位ごとに小さく分けること、「撤去」は置いてあった物を取り除くこと、と覚えておきましょう。