この記事では、「能弁」と「雄弁」の違いを分かりやすく説明していきます。
どちらも話が上手なようすを表す言葉ですが、それぞれ意味が異なります。
意味や使い方をしっかり理解して、正しく使えるようにしましょう。
「能弁」とは?
話がうまいことを能弁と言います。
物の言い方が上手いことや、よどみなく巧みに話す様子のことも意味します。
この場合の「能」とは、物事を成し遂げる力や、その働きを指します。
このことから、目的を達成するときに、うまく物事が運ぶように上手に話すことを「能弁」と言います。
内容をしっかりと頭で整理したうえで、流暢に言葉にする話し方です。
ただし、しっかりとした内容が無い場合には、おしゃべりだという意味が含まれることもあるので、注意が必要です。
「雄弁」とは?
人を説得するような、堂々とした話し方を雄弁と言います。
同時に、説得力を持って話す様子そのものも意味します。
人の心を動かすほど力強く、またよどみなく話すことが「雄弁」です。
この場合の「雄」とは、力強くてすぐれている様を表します。
このことから、優れた弁舌を振るうことを「雄弁」と言います。
しかし、ともすれば装飾過多な話し方とも受け取られて、おしゃべりと言った意味も含まれることもあります。
また、「雄弁に語る」という言い回しが使われることがあります。
その場合には、「言葉を持たない物や状態から、強いメッセージを感じる」という状況を表します。
「能弁」と「雄弁」の違い
「能弁」とは、上手に話をすること、よどみなく語る様子を表します。
それに対して「雄弁」は、人の心を動かして説得する話し方を意味します。
二つの言葉はよく似ているため、対義語はともに「訥弁」となります。
訥弁とは、話し方が下手なことを意味する言葉です。
このように似ている「能弁」と「雄弁」は、ともに流暢に話をすることを意味していますが、大きな違いは聞き手の反応です。
言葉を巧みに使いこなして、相手に対して自分の主張をすることが「能弁」。
聴衆などに対して力強く働きかけて、説得するような話し方が「雄弁」になります。
「能弁」の例文
・『彼は、自分の得意分野では能弁にまくしたてる』
・『その政治家は、記者に向かって能弁に成果を語った』
「雄弁」の例文
・『この政治家は雄弁家として有名で、聞き手を惹きつける魅力がある』
・『彼女の表情は、強い意思を雄弁に語っている』
まとめ
「能弁」と「雄弁」は、どちらも話が上手な様子を表す言葉です。
しかし、「能弁」が理知的で、言葉を巧みに操る話し方なのに対して、「雄弁」は聴衆の心を動かすような力強い話し方を意味しています。
話し方そのものに焦点が合っているか、話した結果が相手に対して影響力を持っているのかという違いがあります。
つまり、「能弁」のキーワードは「巧みな弁舌」、一方で「雄弁」のキーワードは「力強い説得力」です。
「能弁」は、自分の言いたいことを流暢に相手に話すこと。
「雄弁」は、聴衆に語りかけて、力強く説得することだと覚えると分かりやすいでしょう。