この記事では、「強盗致傷」と「事後強盗」の違いを分かりやすく説明していきます。
「強盗致傷」とは?
「強盗致傷」とは自分に所有する権利がなく、他人が所有しているものを奪い取り、その際誰かに怪我させるという犯罪です。
怪我の重さは関係なく、軽い打ち身であっても、全治数ヶ月掛かるような大怪我であっても「強盗致傷」になります。
ただしそれによって暴力を受けた被害者が死んでしまった場合は、強盗致死という別の罪になるので、「強盗致傷」に含まれません。
暴力を振るう意図があったかどうかにも左右され、意図的に相手を傷つけた場合は強盗傷人という、「強盗致傷」とは別の罪として扱われます。
物を奪う時に被害者が転んで怪我をしたなど、怪我をさせる意図はなかったなら「強盗致傷」です。
意図的に相手の所有物を奪い、その上で意図せず相手に怪我を負わせたけれど、その被害者が命を落としてはいないという犯罪が、「強盗致傷」になります。
「事後強盗」とは?
「事後強盗」とは他人の所有物を奪い取る際や、奪った後に何らかの理由で暴力や脅迫を行うという犯罪です。
所有物を渡させる目的で暴力や脅迫することは含まれず、奪った後で取り返そうとしてくる人や、自分を捕まえようとしてきた人から逃げる目的で暴力を振るったり、振るう意思を見せることが「事後強盗」になります。
ただし物を無理やり奪った上で暴力を振るうことは「事後強盗」ですが、その暴力行為で相手は怪我すらしていないことが「事後強盗」の条件です。
振るった拳などが相手に当たって痛い思いをさせても、それによって打撲痕ができるなどの怪我として残っていないのならば「事後強盗」になります。
そのため「事後強盗」は、暴力行為が伴う強盗としては一番軽い犯罪です。
「強盗致傷」と「事後強盗」の違い
「強盗致傷」と「事後強盗」の違いを、分かりやすく解説します。
相手から物を無理やり奪い取った後に何らかの理由で相手を怪我させてしまったという罪が「強盗致傷」で、奪い取った後に何らかの暴力や強迫行為をはたらいたという罪が「事後強盗」です。
「強盗致傷」は怪我の大きさに関係なく誰かが怪我をしていますが、「事後強盗」は暴力を振るいはしても被害者の誰一人として怪我をしていません。
また「強盗致傷」は相手に意図せず怪我を負わせてしまった場合にのみ成立する罪であり、意図的に傷つけた場合は別の罪に問われます。
しかし「事後強盗」は、意図的かどうかは関係なく、逃げるために暴力を振るった場合でも、意図せず暴力を振るう形になった場合でも、その暴力が振るわれた相手が無傷なら「事後強盗」です。
まとめ
正確には暴力行為を意図していたかどうかの違いもありますが、暴力行為で怪我をさせたかさせていないかで、「強盗致傷」か「事後強盗」かが決まると考えればわかりやすいでしょう。
「強盗致傷」は最低でも6年以上の刑期になりますが、「事後強盗」なら最低5年以上と、怪我をさせている分「強盗致傷」の方が重い罪になります。