天気予報などを見ていると、「前線」という言葉が出てきます。
この記事では、「停滞前線」と「温暖前線」の違いを分かりやすく説明していきます。
「停滞前線」とは?
「ていたいぜんせん」と読み、温かい空気と冷たい空気の力関係が釣り合っているときに、接触する面で発生する前線のことをいいます。
「前線」とは、2つの気団が触れた時に地表面で生まれる線のことです。
気温の分布をみると、前線では気温や風向き、風速などが急激に変化していることから、「不連続線」とも呼ばれていました。
「停滞前線」は、前線の一つで、他の前線に比べると動きが遅く、停滞しているようにみえることから、そう呼ばれるようになりました。
北半球では、北極に近いほど冷たい寒気団が、赤道に近いほど温かい暖気団があります。
気団は高気圧から構成されているもので、気圧の低い方へ風(気流)が流れています。
寒気団と暖気団から流れる風が同じくらいの勢力の場合、停滞前線になります。
停滞前線は、数千キロにわたる大きな気団で作られることが多く、日本では、7月頃の梅雨前線が代表例になります。
春には、春雨前線、秋には秋雨前線という停滞前線が現れます。
停滞前線の近くでは、雲が出来やすく、前線が動きにくいので、長期間雨が降ることになります。
「停滞前線」の使い方
春や、梅雨の長雨が続く時期に、「停滞前線は依然として、動きを見せない」などと、使います。
「温暖前線」とは?
「おんだんぜんせん」と読み、暖かい気団が冷たい気団に向かって移動するときに接触面で発生する前線です。
温かい空気が冷たい空気の上に這い上がって出来る前線になります。
北半球では、温帯低気圧の発生初期には南側にあり、だんだん反時計回りに動いてきます。
北に向かう途中、ある程度上がると、冷たい空気の抵抗が強まってくるので、北に向かう勢力が弱まります。
前線が近づくと巻雲、高層雲、乱層雲が発生し、雨が降ります。
ある程度長時間連続した雨が降りますが、降り方は弱いものが多くなります。
前線が通過すると、気温が上昇して天気は回復します。
「温暖前線」の使い方
天気について話すときなどに使います。
「温暖前線が通過し、南西寄りの風になりました」などと、使用します。
「停滞前線」と「温暖前線」の違い
どちらも前線の一つですが、停滞前線は、暖かい気団と冷たい気団の勢力が釣り合っており、停滞している状態です。
それに対し、温暖前線は、暖かい気団の前進によって発生する前線で、冷たい気団の上に、暖かい気団が這い上がっている状態になります。
停滞前線の雨の方が、温暖前線よりも長期間続くことが多くなります。
また、温暖前線の雨の方が、強度の変化が多いことがあります。
まとめ
「停滞前線」も、「温暖前線」も、前線の一つです。
寒気団と暖気団が出会うと、すぐには混ざらないので境界線が出来ます。
「停滞前線」は、二つの勢力が同程度で、前線が停滞するものです。
「温暖前線」は、暖気団の方が強く、寒気団を押して進む状態になります。