時代小説を読んでいると「たわけ」とか「うつけ」といった表現が出てくることがあります。
どちらもマイナスのイメージがある言葉ですが、「たわけ」と「うつけ」はどう違うのか紹介します。
「たわけ」とは?
「たわけ」は相手を罵る時に使う言葉で、愚か者とか馬鹿者といった意味があります。
また、ふざけることや馬鹿げた言動という意味でも使われています。
「たわけ」の語源は「戯ける(たわける)」にあるといわれています。
戯けるは古い言葉なのであまり使われませんが、ふざけるとかふしだらな行いをするといった意味で使われていました。
相手に対して「ふざけるな」と罵倒する場合に、「たわけ」と言ったりします。
日常会話で使用することはほとんどありませんが、時代劇や歌舞伎などではよく使われます。
そのため時代劇の人気が高かった時代には、耳にしている人も多くいました。
今でもシニア世代だと知っていたり使っている人も多いです。
また、「たわけ」のルーツは岐阜と言われており、現在でも岐阜や名古屋などの東海地方では方言として使われることもあります。
人を罵る時には「バカ」や「アホ」と言ったりしますが、「たわけ」はその中でも相手を貶めるニュアンスが強いです。
そのためより強く怒りを表現する時に使います。
「うつけ」とは?
「うつけ」は、うっかりしている人やぼんやりしている人、暗愚な人物のことをいいます。
また、まぬけやおろかなことという意味もあります。
漢字では「空け」あるいは「虚け」と書きます。
元々は空っぽという意味で使われていた言葉です。
よく知られているエピソードとしては、織田信長が尾張の大うつけと呼ばれていたことが挙げられます。
若い頃から奇妙な行動をとることが多く、周りから暗愚な人物と思われていました。
しかし、戦国時代で勢力を徐々に拡大し、天下人となっていった人物です。
現在では「うつけ」という言葉はほとんど使われていませんが、信長が登場する時代劇ドラマなどは沢山あります。
そのため「うつけ」という言葉を聞いたことがある人も多いです。
「たわけ」と「うつけ」の違い
「たわけ」と「うつけ」はどちらも愚かな人物のことを表す言葉ですが、相手を強く罵る時に使うのは「たわけ」です。
相手を貶めるニュアンスが「うつけ」よりも強く出ています。
それに対して「うつけ」は、怒るというよりも馬鹿にする意味合いで使われることが多いです。
「たわけ」も「うつけ」も日常会話で使われることはあまりありませんが、「たわけ」は岐阜や名古屋の方言なので、使っている人もいます。
また、時代劇をテレビで見たり、時代小説を読んだりして知っているという人も多くいます。
まとめ
「たわけ」と「うつけ」の違いは、相手を貶めるニュアンスが強いか弱いかです。
相手を貶めるニュアンスが強いのが「たわけ」で、怒って罵る時に使用します。
「うつけ」は怒っている場合よりも、相手を馬鹿にする場合に使うことが多いです。