「失職」と「懲戒免職」の違いとは?分かりやすく解釈

「失職」と「懲戒免職」の違いビジネス・就職・転職

「失職」「懲戒免職」はどちらも仕事をなくすことを意味する言葉ですが具体的にはどのような基準で使い分ければいいのでしょうか。

今回は、「失職」「懲戒免職」の違いについて解説します。

「失職」とは?

「失職」とは、「現在就いている職を失い無職になること」を意味する言葉です。


「失職」の使い方

会社をクビになったり店を畳んだりなど「今の仕事を失うこと」「失職」といいます。

広義では理由や都合を問わず仕事を失い無職になること全てを指しますが、狭義では「公務員が本人の意志によらずにその職を解かれ失うこと」を意味します。

「失職」のわかりやすい例が「任期が定められている議員」です。

国会議員や県会議員などの議員は選挙によって選ばれますが定められた任期の間だけ地位と役職が保証されています。

参議院議員なら6年の任期満了を持って強制的に議員の職を解かれ失うことになりますが、このような「退職の意志や強制力を伴う手続きに基づかない職の喪失」「失職」です。

衆議院が解散して強制的に衆議院議員が亡くなるのも「失職」ですし地方自治体の首長がリコール手続きにより職を失うのも「失職」にあたります。


「懲戒免職」とは?

「懲戒免職」とは、「公務員に対して与えられる職を解き公務員としての身分や地位を失わせる懲罰処分」を意味する言葉です。

「懲戒免職」の使い方

「懲戒免職」というのは簡単にいえば「罰として公務員をやめさせること」です。

不正行為や不祥事など国家公務員法もしくは地方公務員法の定める規定に違反する事実が確認されたとき、違反した公務員に対して法律に基づく処分が下されます。

「懲戒免職」は公務員に対して課される処罰のひとつで職務に関する法的な処分としては最も重いペナルティです。

「懲戒免職」は懲罰としてくだされる処分であり職を失うこと以外にもさまざまなペナルティが伴います。

公務員は仕事を辞めるときに退職金が支給されますが「懲戒免職」で辞める場合は原則として退職金は支給されず「懲戒免職」の事実が官報を通じて公表されるため再就職など今後の人生において不利益が生じる可能性があるなど円満に辞職するのとは大違いです。

「失職」と「懲戒免職」の違い

「失職」「懲戒免職」の違いは「処罰」です。

「失職」は職を失うだけですが「懲戒免職」は処罰として強制的に食を失うことを意味します。

退職員の扱いなど穏当に仕事をやめるのに比べると様々な不利益が伴います。

「失職」は処罰ではないので順当に任期を満了した議員などやましいところが一切ない人も当てはまりますが、「懲戒免職」は法律によって定められる不祥事や問題行動を起こした人のみが対象です。

「失職」の例文

・『任期満了で議員全員が失職する』
・『失職した市長が選挙で再び当選する』

「懲戒免職」の例文

・『横領事件を起こした公務員が懲戒免職になる』
・『懲戒免職されてしまい今日から無職生活がスタートする』

まとめ

同じ仕事をなくすことを意味する言葉でも「失職」「懲戒免職」では立場も扱いもまったく違います。

ニュースなどでは厳密に使い分けられている言葉なのでどのような基準で言葉を選べばいいのか参考にしてください。