似たような意味で使われる四字熟語として「荒唐無稽」と「事実無根」があります。
このふたつの四字熟語はどのように意味が異なるのでしょうか。
今回は、「荒唐無稽」と「事実無根」の違いについて解説します。
「荒唐無稽」とは?
「荒唐無稽」とは、「話や主張の内容がいい加減でまったく事実ではないこと」を意味する言葉です。
「荒唐無稽」の使い方
「荒唐無稽」という表現は主に「他人の話や主張がいい加減でまったく信用できないものである」と指摘する際に用います。
元々は中国の古典に由来する言葉ですがる「荒唐之言」と「無稽の言」というふたつの言葉がひとつになって生まれた表現です。
「荒唐之言」とは「根拠がなくでたらめな話」を意味し「無稽の言」は「よって立つものがなく信頼性にかける話」を意味します。
似たような意味を持つふたつの言葉が合わさり強調された表現であり、ただ根拠が無いことを指摘するだけでなくそのような馬鹿げた事を言っている人を非難する意味合いも含む表現です。
一般的にはちょっとズレたりわずかな誤差だったりといった少しの間違いではなく、「まったく信用するに値しない常識では考えられないほど真実味のない話」というような大きく間違っていることに対して用いる表現です。
「事実無根」とは?
「事実無根」とは、「事実に根ざしていないこと」を意味する言葉です。
「事実無根」の使い方
ある話が事実に基づいていることを「事実に根ざす」と表現します。
真実性を担保する根拠がある話は「事実に根ざした話」ですが、証拠や証言などがなにもないような「事実だという根拠がないこと」が「事実無根」です。
一般的に「事実無根」という言葉は「事実ではない」という意味で使われています。
誰かに悪いうわさを流されたときなどにそのうわさが事実ではなくウソであることを主張するときに「事実無根」という表現を用いて反論を行います。
「荒唐無稽」と「事実無根」の違い
「荒唐無稽」と「事実無根」はどちらも「いい加減で信用できない」という意味で使われる言葉ですが「荒唐無稽」が主張や話の内容そのものがいい加減であることを指摘しているのに対し、「事実無根」は主張の根拠がないことを指摘している点に違いが見られます。
一般的には「荒唐無稽」はとても事実とは思えない内容に対して使われる表現、「事実無根」は事実かもと思えるかもしれないが根拠に欠ける虚偽の内容に対して使われるという違いがあります。
常識的のある人なら真実ではないと判断されるのが「荒唐無稽」、常識のある人でも信じてしまうほどもっともらしく聞こえるが根拠や裏付けのないのが「事実無根」という違いで区別される言葉です。
「荒唐無稽」の例文
・『明日地球に隕石が落下するなど荒唐無稽すぎてとても信じられない』
・『彼の荒唐無稽な主張を信用するものは一人もいなかった』
「事実無根」の例文
・『彼が経費を着服したといううわさはまったくの事実無根である』
・『事実無根の記事を掲載されたので編集部を訴えた』
まとめ
「荒唐無稽」と「事実無根」は似ているようではっきりと違う意味を持つ言葉です。
話がどのように受け取られるのか、信じられかねないのかなどを考えてふさわしい表現を使いましょう。