「原案」と「原作」の違いとは?分かりやすく解釈

「原案」と「原作」の違い専門用語・業界用語

映画などのスタッフクレジットでは「原案」「原作」という表記が使われています。

このふたつは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「原案」「原作」の違いについて解説します。

「原案」とは?

「原案」とは、「作品のもととなるアイデアやモチーフ」を意味する言葉です。


「原案」の使い方

映画や漫画などのスタッフクレジットで登場する「原案」というのは「作品のもととなるアイデアやモチーフおよびそれらを提供した人」を意味します。

作品のきっかけとなるアイデアや作品の根幹に関わる設定などが「原案」であり、それをたたき台としてストーリーを練り上げ映像や作画で形作ることで作品が完成していくものを指します。


「原作」とは?

「原作」とは、「映像化や映画化などの元になった作品」を意味する言葉です。

「原作」の使い方

「原作」という言葉は一般的に「作品を生み出すことになった元の作品」を意味します。

小説を元に作られた映画やドラマを元に描かれた漫画など「ある作品を異なるメディアで作品化するときの元の索引」「原作」です。

「原作」は基本的に「メディアの変更」で用いられる言葉です。

小説のストーリーを参考に映画作品を制作したりテレビドラマで描かれた内容を漫画作品に仕上げたりなど「元の作品をできる限り忠実になぞって異なるメディアの作品にする」ときに元の作品のことを「原作」と呼びます。

「原案」と「原作」の違い

「原案」「原作」の違いは「改変の程度」です。

「原案」「原作」はどちらも「新しく作品を作るときに参考にした元の作品」を指す言葉ですが「原案」がアイディアやモチーフの一部を参考にしているのに対し、「原作」はできる限り元の作品に近づけようとする点に違いがあります。

例えば「桃太郎」を参考に新しく作品を作る場合「桃から生まれた少年が活躍する」「きびだんごで犬猿雉をお供にする」といった一部の要素のみを参考にする場合は「原案」「桃から生まれた少年が鬼ヶ島に鬼退治にいく」というストーリーの大部分をそのまま使用する場合は「原作」です。

元の作品からどれだけ改変しているか、逆にいうと「どれだけ似ているか」が基準なので「原作」という表記で作品が制作されながらあまりにも元の作品からかけ離れているという理由により放送途中でクレジットが「原作」から「原案」に変更になったテレビドラマも存在します。

元の作品から大きく変わっていてもOKなのが「原案」、大きく変えてはいけないのが「原作」問いう違いで区別されます。

作品製作にあまり関与しないのが「原案」、深く関わっているのが「原作」という区別の仕方もあります。

コンテンツ業界では一般的に「原案」のほうが「原作」よりも報酬が低いのは関与の深さによるものです。

「原案」の例文

・『名作を原案にオリジナリティあふれる作品を作る』
・『原案からはだいぶかけ離れているがこれはこれで面白い作品である』

「原作」の例文

・『原作の良さを台無しにする映画化に批判が相次いだ』
・『海外小説を原作にしたテレビドラマを試聴する』

まとめ

「原案」「原作」はとてもよく似た意味の言葉ですが制作現場では明確に違う意味で使われています。

混同するとトラブルになる恐れがあるので違いをしっかり認識しておきましょう。