人の体験を表す言葉に「原体験」と「実体験」があります。
どちらも体験に対して使われる言葉ですがどう違うのでしょうか。
今回は、「原体験」と「実体験」の違いについて解説します。
「原体験」とは?
「原体験」とは、「その人の人間性に強い影響を与えたもととなる体験」を意味する言葉です。
「原体験」の使い方
思想や価値観など人が持つ人生観は生まれついて持っているものではありません。
人生に対するさまざまな考えやものの見方は後天的な要素が強く、さまざまな体験や学習を通じて徐々に形成されていくものです。
「人の人生に強く影響を及ぼした体験のうち最も古くその人を形作るきっかけになった体験」を「原体験」といいます。
一般的に「原体験」という言葉は「思想や考えの基礎となる強烈な印象の体験」という意味で使われます。
ある物事がその人に強く影響を与えその後の人生にまで影響が及ぶようなとき、基となる体験を指す言葉が「原体験」です。
「原体験」は人の思想や考えのスタート地点となる思想を指す言葉で一般的には幼少期の体験を指しますが、歳を重ねてからある体験をきっかけに新しい思想に目覚めたり人生を見つめなおしたりした場合はその体験が「原体験」に当たります。
人生に最も強く影響を及ぼした体験が「原体験」ですが必ずしもはっきりと記憶しているとは限りません。
影響を強く受けた体験であっても年令を重ねる内に記憶そのものはどんどん薄れてしまい内容を具体的に覚えていないことは珍しくなく、人に言われたり後から調べたりして初めて自分の人生に強く影響を及ぼした「原体験」の存在を知る人もたくさんいます。
「実体験」とは?
「実体験」とは、「実際に自分の体で直接的にやった経験」を意味する言葉です。
「実体験」の使い方
「体験」とは「自分の体でやった経験」を指す言葉です。
本来の意味から考えると「実際に自分の体で直接的にやった経験」という意味を表す「実体験」は表現が過剰です。
体験という言葉に「自らの身体で」という「実際に」の要素が含まれているのにさらに「実」という言葉をつけるのはやり過ぎであるとも言えますが、「現実として体験した」ことを特に強く表現するためにあえて過剰な表現が用いられています。
「実体験」には「体験したことを経験として自分の中に蓄積する」という意味もあります。
ただ訳もわからず体験するだけではなく「その後の糧として生かされている実のある体験」が「実体験」です。
やってみただけで身についていない、経験として蓄積されていないものとはっきり区別する意味で「実体験」という言葉が使われています。
「原体験」と「実体験」の違い
「原体験」がその人の人生に強く影響を及ぼした体験を指すのに対し、「実体験」は経験として蓄積されてはいるものの思想や信条などに影響を与えていない体験も含まれるという違いがあります。
人生観の基礎になる体験が「原体験」、基礎の上に経験として積み重ねられるのが「実体験」という違いがあります。
まとめ
「原体験」と「実体験」では経験の種類がまったく違います。
人生にどのような影響を与えたかに注目してふさわしい表現を使い分けてください。