この記事では、「防災」と「保安」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「防災」と「保安」の違い
「防災」とは、台風、火災、地震などの災害を防ぐことです。
「保安」とは、社会の安全や秩序を保つことです。
台風や火災などの災害を防ぐことは、安全を保つことにつながります。
そのため、「防災」と「保安」は意味が同じように感じるかもしれませんが、同じことを意味しているのではありません。
「防災」の場合は、災害を防ぐという意味であり、安全を保つという意味は含まれていません。
「保安」の場合は、社会の安全、特に職場や施設の安全を保つことをいいます。
安全を保つ方法には、交通整備をする、見回りをする、センサーが作動したときに現場に駆けつけて対応するなどがあります。
たとえば、大きなイベントのときには交通渋滞が予想されるため、警備員などが配置され、車を誘導し、安全を確保します。
これらは災害とは関係ないことです。
「防災」と「保安」の使い方の違い
災害を防ぐことに「防災」を使用します。
「防災訓練」「防災頭巾」などの言葉もあります。
安全を守ることに「保安」を使用します。
特に会社や施設の安全を守ることをいいます。
「防災」と「保安」の英語表記の違い
「防災」は英語で“protection against disasters”と表現をします。
「保安」は英語で“the preservation of law and order”や“security”と表現をします。
「防災」の意味
「防災」とは、災害から守ることです。
災害とは、自然現象や人為的なものによって引き起こされる、人間に被害を与えるもののことです。
自然現象による災害には、台風、火災、地震、洪水、土砂崩れ、高潮、竜巻、落雷、雪崩、吹雪、積雪、波浪などがあります。
人為的な災害には、航空事故、火災、海難事故、石油流出、原子力事故、爆破事故、テロ、炭鉱事故などがあります。
こういったものを防ぐことが「防災」です。
また、「防災」には、災害を未然に防ぐ意味も、被害の拡大を防ぐ意味も、災害からの復旧活動の意味も含まれています。
消防庁では、「防災マニュアル」を紹介しています。
防災マニュアルには、寝室には倒れそうなものを置かない、枕元に厚手の靴下やスリッパを置く、非常口を確認しておく、非難するときには電気のブレーカーを切るなど、「防災」のための行動が示されています。
寝室に倒れそうなものを置かないことにより、地震があったときに物に押しつぶされてしまうことを防げます。
枕元に厚手の靴下やスリッパを置いておけば、非難するときに床に散らばったガラスを踏んでケガをすることを防げます。
こういった行動が「防災」です。
「防災」の使い方
災害を防ぐことについて使用をします。
広い意味では、災害が起こらないように防ぐ、災害が起こってしまったときの被害を最小限にする、災害からの復旧をするなどのことを「防災」といいます。
災害には自然災害と人為的災害があり、幅広く使うことができる言葉です。
「防災」を使った例文
・『防災に関する情報を周知させる』
・『防災グッズを用意しておく』
・『防災の観点でお風呂の残り湯をとっておく』
・『防災センターに人が集まる』
「防災」の類語
「災害を防ぐ」が類語です。
「防災」の対義語
対義語はありません。
強いて言えば、「防災」が不十分で実際に害を受けてしまったという意味で「被害」が対義語になります。
「保安」の意味
「保安」とは、安全を保つことです。
世の中が穏やかで安定しているように保つという意味を持っています。
たとえば、電気に関する保安管理業務の場合、使用中の電気設備の点検、動作試験の実施、電気設備の事故・異常の際の出動などを行い、安全を保てるように取り組みがされています。
保安警備員という仕事があり、ショッピングモールなどの警備、交通誘導、雑踏警備などが仕事内容です。
「保安」とは安全を守ることであり、こういった行動によって安全が守られています。
「保安」の使い方
社会が無事で安定するように保つことを指して使用します。
特に会社や組織などの安全を保つことをいいます。
「保安」を使った例文
・『保安官が船に乗り込む』
・『保安部の職員がやってきた』
・『海上保安庁によって海の安全が守られている』
・『保安検査場を通過する』
「保安」の類語
「公安」が類語です。
社会の秩序が保たれていることという意味があります。
「保安」の対義語
対義語はありません。
強いて言えば、安全ではないという意味で「危険」が対義語になります。
まとめ
「防災」とは災害を防ぐこと、「保安」は安全を保つことです。
災害を防ぐことで安全を保てそうなので、2つの言葉は同じような意味に感じますが、厳密には同じことを指しているのではありません。