この記事では、「錯誤」と「誤認」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「錯誤」と「誤認」の違い
「錯誤」には、3つの意味があります。
1つめは、まちがうことです。
2つめは、その人が理解しているものと、主観を離れてみたときの事実とが一致していないことです。
3つめは、民法上のことで、内心の意志と意思表示したものが意図的にではなく食い違ってしまうことです。
「誤認」には、まちがってそれと認めることという意味があります。
どちらの言葉にも、あやまる、まちがえる、あやまりという意味を持つ漢字である「誤」が使用されており、2つの言葉には、まちがいという意味が含まれています。
しかし、同じ意味を持っている言葉なのではありません。
「錯誤」には3つの意味がありますが、「誤認」と似ている意味は2つめのものです。
Aさんは、長男が家を継ぐべきだと考えていました。
しかし、現代日本では長男だからこうしなけばならないといった考えや、男女を差別する考えはなくなってきています。
Aさんの考えと現代社会の考え方に食い違いがあるのです。
このような、ある人が認識しているものと、ある人の立場を離れてみたときの事実とが違っている意味を持っている言葉です。
「誤認」の場合は、間違って認めることで、客観的事実と照らし合わせてという意味は含まれていません。
見間違えるようなことを意味する言葉です。
「錯誤」と「誤認」の使い方の違い
本人がそうであると思っているものと、客観的な事実が違うことについて「錯誤」を使用します。
間違うことについても使用し、この場合は失敗という意味合いがあります。
間違ってそうであると理解していることについて「誤認」を使用します。
失敗については使用しません。
「錯誤」と「誤認」の英語表記の違い
「錯誤」は英語で“mistake”と表現をします。
「誤認」は英語で“misconception”や“mistake”と表現をします。
「錯誤」の意味
「錯誤」には、3つの意味があります。
1つめは、まちがうことです。
はじめて何かをするとき、こうなるであろうと思っていることと、実際にやってみた結果が違っていることがあります。
野球の練習のことで考えてみます。
こうやってバットを振ればヒットを打てるだろうと思って実際にやってみても、結果はファールになってしまうことがあります。
思っていた結果と実際の結果が違います。
これを何度か繰り返していると、思っていたものと実際やってみた結果が一致する可能性があります。
この思っていた結果と実際にやってみた結果の違いを意味する言葉で、この場合は「試行錯誤」といいます。
2つめは、ある人がそうであると理解しているものと、ある人の立場を離れてみた事実とが一致していないことです。
家庭内では夫が支配権を持つものだという考えは、現在ではあまり支持されていないようです。
夫が支配権を持っている家庭では、夫は家事を一切手伝わない、夫が妻をこき使うなどがみられることが少なくありません。
しかし、現代の日本では夫も家事を手伝うことが珍しくないです。
このような時代であるにもかかわらず、夫が支配権を持つものだと思っているなら、「時代錯誤」といえるでしょう。
3つめの意味は、民法上のことで、内心の意志と表示したものが食い違っていることを、意志を示したものが知らないことです。
「錯誤」の使い方
民法上の意味は日常生活で使うことは少なく、1つめの意味と2つめの意味で使われることが多くあります。
こうなるであろうというものと結果が違う、ある人が思っているものと客観的な事実が違うという意味で使用します。
これらの意味では「錯誤」という言葉だけで使用するのではなく、前に「試行」「時代」をつけて使われることが多いです。
「錯誤」を使った例文
・『時代錯誤だと指摘された』
・『錯誤をしてしまった』
・『時代錯誤なことばかりいっている』
・『試行錯誤をするしかなかった』
「錯誤」の類語
「誤り」が類語です。
「錯誤」の対義語
対義語はありません。
「誤認」の意味
「誤認」とは、本当はそうでないのにそうであると認めることです。
スイセンの葉とニラの葉の形は似ています。
スイセンは道端に生えています。
ニラはスーパーで売っているだけでなく、よく探せば道端で見つけることができます。
見た目がよく似ていて、どちらも道端で見つけることができるので、間違えてしまうことがあります。
ニラだと思って採取したものが、本当はスイセンだった。
これはそうであると思っていたものが、本当はそうでなかったということができます。
このようなことを意味する言葉です。
菠蘿油という香港のベーカリーで販売されているパンがあります。
このパンは、表面にクッキーのような生地がのせてあり、表面にパイナップルのような切れ込みが入れられています。
菠蘿にはパイナップルの意味があり、パイナップルの見た目に似ているので、この名前が付けられているそうです。
日本では菠蘿油に似ているパンが販売されていて、これを台湾メロンパンと読んでいます。
菠蘿油は本当は台湾のメロンパンではないのに、そうであると誤って認識をしているのです。
これも「誤認」といえます。
「誤認」の使い方
そうであると認めているものが、本当はそうでないことについて使用をします。
誤って認識していることに、本人が気が付いていないことが多いです。
スイセンのことをニラだと思って食べてしまう人は、本当にニラだと思っています。
本人はスイセンであることに気が付いていないのです。
「誤認」を使った例文
・『誤認しているようだ』
・『誤認して採取してしまったのだろう』
・『好転反応だと誤認する』
・『誤認がないように気をつけて表示する』
「誤認」の類語
「誤り」が類語です。
「誤認」の対義語
対義語はありません。
まとめ
「誤」という漢字を使っている2つの言葉で、どちらの言葉にもまちがいという意味が含まれています。
しかし、「錯誤」は本人が思っているものと客観的事実が違う、「誤認」は間違って認めるという意味であり、意味合いが違います。