この記事では、「余る」と「残る」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「余る」と「残る」の違い
「余りもの」、「残りもの」といったように同じような意味で用いられることが多い「余る」と「残る」。
しかし、この両者は、結論から言えば大きな違いがあります。
「余る」と「残る」の違いは、全体を1とした場合に今、どのような状態なっているかによって異なってきます。
「余る」の場合、全体を1とした場合、1の基準を超えている状態となり、1以上のものになっている状態を指します。
一方、「残る」の場合は、全体をとした場合、1の基準より少ない状態を指します。
お皿に盛りつけられた料理で考えた場合、「余る」は、そのお皿から料理がはみ出している状態。
そして、「残る」は、そのお皿に料理の一部が存在している状態となります。
「余る」と「残る」の使い方の違い
全体を1とした場合、その1よりも超えている状態を意味する「余る」。
一方、1よりも少ない状態を意味する「残る」。
そのため、同じ「余りもの」、「残りもの」でも意味が違ってきます。
例えば、料理の余りもの、残りもので比較した場合、4人家族が4人で食事をするにもかかわらず5人分の料理を準備した場合、そこで、食事が終わった後、お皿に存在している料理は「余りもの」。
4人家族が4人で食事をするため、4人分の食事を準備し、食事が終わった後、お皿に存在している料理は「残りもの」ということになります。
多くの場合、気にせず使っている人が多い、「余る」と「残る」ですが、実際には、「余りもの」、「残りもの」のように明確な使い分けが必要です。
「余る」と「残る」の英語表記の違い
「余る」の英語は、to remain; to be left over; to be in excess; to be too manyです。
「手に余る」は、be too much for one; be more than one can manage
「余ったお金」は、the money left over. となります。
「残る」の英語は、stay、survive、outlast、outlive、abide、bide、stay、remain、stay、persistです。
「あとに残る」は、remain behind
「まだ不安が残る」は、Uncertainty still remains. となります。
「余る」の意味
多すぎて残ってしまう、使いきれず残ってしまう、といった意味を持つ、「余る」。
量が基準よりも超えている状態を意味する言葉となります。
割り算の「余り」で考えるとわかりやすく、7÷3の場合、答えは2余り1と、どうしても1余ってしまいます。
このようにオーバーしてしまうことを「余る」と言います。
また、「余る」の場合は、目に見えるものだけではなく、程度や評価、力などにおいても使用され、我慢の程度などを示す言葉としても用いられます。
「余る」の使い方
「余る」の使い方は、それぞれの意味によって異なります。
使いきれない、食べきれない状態を意味する場合、「お菓子が余る」、「お金が余る」など。
程度や評価、力などの場合、「目に余る行為」や「身に余る」、「勢い余って…」などといったように意味によって使い分けが必要です。
「余る」を使った例文
・『私には手に余ることだったので、丁重にお断りさせて頂きました。』
・『ご近所さんの目に余る迷惑行為が気になり、思い切って自治会長さんに相談することにした。』
・『今日は天気が悪いので、人手が余りそうで困っている。』
・『はりきって料理を作ってしまい、結果、たくさんの料理が余ってしまった。』
「余る」の類語
「余る」の類語には、程よい程度を越し余っている状態を意味する「だぶつく」、「超過」、「過剰」、「余剰」、「あり余り」など。
必要以上にものがあることを意味する「はみ出す」、「溢れる」、「あぶれる」などがあります。
「余る」の対義語
「余る」の対義語は、「足りない」です。
「残る」の意味
その場にとどまる、取った後でもなくならない、消えない、などといった意味を持つ、「残る」。
初めからあったものが減った状態を意味する言葉となります。
例えば、テーブルに8個入りのお菓子があった場合、そのうち、5つ食べた後の状態が「残る」ということになり、この場合、3つのお菓子が残っている状態となります。
また、実際に目に見える状態だけではなく、気配や状況が存在し続ける場合にも「残る」という言葉が用いられます。
「残る」の使い方
「残る」の使い方は、それぞれの意味によって異なります。
その場にとどまるといった意味の場合、「会社に残る」、「学校に残る」など。
その場にあったものを取り去った後、なくならずにいる状態を意味する場合「お菓子が残る」、「おかずが残る」など。
消えない状態を意味する場合「傷が残る」、「耳に残る」など。
後世に伝わることを意味する場合「歴史に残る」などとなります。
「残る」を使った例文
・『今日は、遅くまで会社に残って残業だ。』
・『残り少ない高校生活を大切にしたいと思う。』
・『顔に傷が残らないか心配です。』
・『残ったおかずは、冷蔵庫に入れておいてください。』
「残る」の類語
「残る」の類語には、留まるといった意味を持つ「残存」、「残される」。
後に残るといった意味を持つ「留まる」などとなります。
「残る」の対義語
「残る」の対義語は、「無くなる」、「尽きる」、「消える」、「去る」となります。
まとめ
同じような意味で用いられることが多い「余る」と「残る」。
しかし、この両者には、同じ基準を置いたうえで、そこから、減っているのか、溢れているのかといった違いがあります。
そのため、同じ「余りもの」、「残りもの」でも使い分けが必要な言葉となります。