「骨頂」という言葉を含む表現として「愚の骨頂」と「真骨頂」があります。
このふたつの言葉にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「愚の骨頂」と「真骨頂」の違いについて解説します。
「愚の骨頂」とは?
「愚の骨頂」とは、「極めて愚かなこと」を意味する言葉です。
「愚の骨頂」の使い方
「愚の骨頂」の「骨頂」とは「物事の最高の段階」を意味する言葉です。
物事の重要な部分や大切なところを「コツ」といいます。
大切な部分を身につけることを「コツをつかむ」などといいますが、漢字で表す場合は「骨」という字を使います。
重要な部分という同じような意味合いで「芯」という表現もありますが人間の体における芯である骨は誰もが底に向かって進んでいく目標となる部分を表しています。
「骨頂」というのは「骨の頂き」つまり頂上や頂点などこれ以上先のない行き着く最終到達地点を意味する言葉です。
「愚の骨頂」とは「愚かさの最終到達地点」を表すものであり、よりわかりやすい表現だと「この上ない愚かさ」です。
バカバカしさにあきれ果ててしまうほど愚かなことを指す強い意味の言葉であり一般的には相手の考えなしの行動や後先考えない言動を非難する意味で用いられます。
「真骨頂」とは?
「真骨頂」とは、「そのものが本来持っているありのままで偽りのない姿」を意味する言葉です。
「真骨頂」の使い方
「骨頂」には「物事の最高の段階」という意味がありますがそこから転じて「余計なものをそぎ落として到達する極み」という意味もあります。
「真骨頂」とは「ありのままで飾りのない到達した極みの様子」を表しており簡単に言うと「本当の姿」を指す言葉です。
「真骨頂」という言葉には「真実の姿が余計なもので隠されたり邪魔されたりしている」という前提があります。
ルールや決まり、しがらみやプレッシャーなど余計なものがあるせいで本当の姿が見られない事を前提に「邪魔するもののない本当の姿」という意味で「真骨頂」という言葉が使われています。
一般的には「その人が本来持っている真の実力」という意味で使われることが多くこれ以上ない究極のパフォーマンスをあらわす言葉です。
「愚の骨頂」と「真骨頂」の違い
「愚の骨頂」が愚かさの極みを表すのに対し「真骨頂」は真実の極みを表しています。
「愚の骨頂」では骨頂が愚かさの程度をあらわす言葉として使われていますが「真骨頂」では本来の姿という意味で使われており同じ言葉ですが用法そのものがまったく異なります。
「愚の骨頂」の例文
・『指導者として安易に核兵器を脅しの材料に使うのは愚の骨頂である』
・『破滅するとわかっていながらギャンブルをやめようとしないのは愚の骨頂というしかない』
「真骨頂」の例文
・『繊細な筆使いとそこから描き出される水の表現が彼の真骨頂だ』
・『一見荒々しく見える中に隠れた繊細な細工に大工の真骨頂を見た』
まとめ
同じ言葉を含んでいても「愚の骨頂」と「真骨頂」ではまったく意味が異なります。
日常会話ではあまり使いませんが文章ではよく見る表現なので正確な意味を知っておきましょう。