原因や結果が特定の人物や行動に寄る状態を表す言葉には「偏に」や「一重に」を使います。
こちらの2つは「ひとえに」と読み、感謝を表す時にも使うことが可能です。
この記事では、「偏に」と「一重に」の違いを分かりやすく説明していきます。
「偏に」とは?
「偏に」は「ひとえに」と読む言葉であり、物事や行為を単純に何度も繰り返す時に使います。
こちらの用法はやや古いものとなっており、日常的な会話ではあまり使われません。
行為を何度も繰り返したりリピートすることから一途な行動に対して使うことが可能であり、偏った動作や行為にも使います。
「偏に」にはもう1つの意味があり、こちらは物事に対する原因や結果が1つの人物や行動のおかげである時に使います。
「偏に」は誰かのおかげであるという行動や物事はいい場合に使いますが、反対に誰かの責任で失敗をした時にも使うことが可能です。
「偏に」は感謝や尽力に対して使う場面や、失敗や責任、謝罪する場合でも使うことから日常的なシーンからビジネスシーンでも使われます。
「偏に」は原因や結果が1つの人物や行動のみに偏っていることを表す言葉であり、責任をはっきりと示したい時に使用します。
「一重に」とは?
「一重に」はこちらも「ひとえに」と読む言葉であり、物事や行為を単純に重ねる時に使う言葉として知られています。
しかしこの「一重に」は厳密に言うと間違った副詞であり、真面目な場面で使うのは避ける方がいいでしょう。
発音は「偏に」と同じなので会話する際には問題ありませんが、文章に起こす場合に「一重に」と書くと間違いになり相手に悪い印象を与えてしまいます。
「偏に」と「一重に」の違い
「偏に」と「一重に」は発音が「ひとえに」ということもあり、よく誤解されがちな言葉として有名です。
「偏に」は元々「一重」という言葉に格助詞の「に」が付加されて作られた言葉であり、繰り返しリピートするという意味がここから生まれました。
しかし現代の「偏に」は繰り返すという意味だけではなく、原因や結果が1つの人物行動のみであることを示す意味があります。
感謝やよい行動から、謝罪や責任といった悪い原因など幅広い場面で使うことが可能であり、ビジネスシーンでもよく使われる言葉です。
「偏に」の例文
・『今期の失敗は偏に自分の責任であり、来期は挽回していきたいと思います』
・『宇宙開発の成功は偏に彼のおかげであり、今でも感謝しています』
「一重に」の例文
・『一重にと偏には発音が似ているので間違えやすい』
・『一重にと記載したところ上司から間違いを指摘されたので、慌てて訂正しました』
まとめ
原因や結果が1つの人物や行動であることをはっきりと示す時には「偏に」を使います。
「一重に」は発音が同じですが誤用なので記載する時には注意しましょう。
この2つは誤解も多いことから文字で記載する時には平仮名で「ひとえに」を使うことも多いのが特徴です。