証明するための行為を指す言葉として「実証試験」と「実証実験」があります。
このふたつにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「実証試験」と「実証実験」の違いについて解説します。
「実証試験」とは?
「実証試験」とは、「物事の性質や性能を実際の現場で試してみること」を意味する言葉です。
「実証試験」の使い方
「実証試験」の「実証」には「実際の現場で証明する」という意味があります。
研究室やテストのために用意された特別な場所ではなく製品や道具が実際に使われる現場を利用して証明する行為が「実証」です。
「実証試験」の「試験」とは「物事の性質や性能を試すこと」を意味します。
想定される結果や期待されるデータは存在しますがそのような前提とは無関係に「やってみたらどうなるか」というのが「試験」の目的です。
期待通りの結果になることもあればまったく予想もしなかった結末に終わることもありますが「やってみる」ことに主眼が置かれているのでどのような結果が出たとしても貴重な研究データとして活用されます。
「実証試験」とは「実際の現場で試して確かめてみること」を意味する言葉です。
理論上は正しかったり研究室では成功していたりする物事を実際の現場でやってみることを「実証試験」と表現します。
新製品や開発した物品が実用されるには実際に使われる現場の条件をクリアする必要があります。
研究室や専用施設のような特殊な環境ではなく現場環境を利用して試してみるのが「実証試験」なので実際に使用される現場、もしくは現場に限りなく近づけた環境を用いていろいろと試しデータを収集します。
「実証実験」とは?
「実証実験」とは、「理論や仮設が正しいことを実際の現場を利用して証明すること」を意味する言葉です。
「実証実験」の使い方
「頭のなかで考えられた理論や仮説を実際の現象により明らかにすること」を「実験」といいます。
理屈としては通っているがまだ現実にそうなるかどうかはっきりしていないことを証明するために行われる行為である「実験」の中でも「実際の現場を用いて行われる実験」が「実証実験」です。
理屈や理論としては成り立っていても実際にはそうならないというケースはよくあります。
現実では理論上想定されている以外の要素が複雑に絡みますし常に同一の条件がそろうとも限りません。
不安定な条件がつきまとう実際の現場でも理論や仮説が通用するのかどうかを証明するために行われる行為が「実証実験」であり、研究室レベルでは成功していた実験結果を証明する追実験として行われるのが一般的ですが、実際の現場を簡単に用意できる場合は最初の実験から「実証実験」でスタートすることもあります。
「実証試験」と「実証実験」の違い
「実証試験」と「実証実験」の違いは「証明する内容」です。
どちらも実際の現場を用いて証明する作業を指しますが「実証試験」が性質や性能などを試すのに対し「実証実験」は理論や仮説を証明するために行われるという違いがあります。
どんな結果が出るのかやってみて確かめるのが「実証試験」、理屈どおりにいくかどうかやってみて確かめるのが「実証実験」という違位で区別されます。
まとめ
「実証試験」と「実証実験」は混同されがちですが似て非なる言葉です。
現場で証明しようとしている内容の違いで区別されるのでなんのために行われるのかに注目してふさわしい言葉を選んでください。