態度が悪い様子をあらわす言葉として「失礼」と「不躾」がありますがこのふたつは具体的にどこが違うのでしょうか。
今回は、「失礼」と「不躾」の違いについて解説します。
「失礼」とは?
「失礼」とは、「礼儀にかけていること」を意味する言葉です。
「失礼」の使い方
他人に対するときにとるべきふさわしい態度のことを「礼儀」といいます。
相手を不快にさせないためだったりその場にいる人が気持ちよくコミュニケーションするためだったりなど礼儀にはさまざまな意味合いがありますが、社会人であれば当然身につけておくべきマナーやプロトコルが礼儀であり常識を図るためのものさしとしても機能します。
「人として当然備えておくべき礼儀に欠け相手に対して不快感を与えること」を指す言葉が「失礼」です。
「失礼」とは「礼を失する」ことを意味しており「礼儀にかけている」「礼儀がない」ことを表します。
当然身につけておくべき人との接し方やふるまいをわきまえていないのが「失礼」であり個人の態度そのものよりも相手にどう思われるかが重要になります。
同じようなふるまいをしても立場や年齢、文化的な背景などにより礼儀をわきまえているとみなされることもあれば「失礼」にあたることもあるので注意が必要です。
「不躾」とは?
「不躾」とは、「躾がなっておらず態度が悪いこと」を意味する言葉です。
「不躾」の使い方
人として身につけておくべき常識を覚えさせることを「躾(しつけ)」といいます。
あいさつをしたり丁寧な言葉づかいをしたり美しいふるまいで行動したりなど親から子へと教えられるマナーや常識全般を指す言葉です。
「不躾」とは「躾がない」つまり「躾がきちんと身についていない」ことを表します。
丁寧な態度をとるべきなのに乱暴に振る舞ったり敬語が使えていなかったりなど「しつけられている人であればとらないであろう相手を不快にさせる言動」が「不躾」です。
一般的には「遠慮がないこと」「相手に気を使わないこと」といったような意味合いで使われるようなことが多く、思慮の浅さやマナーの低さを表すネガティブな言葉です。
「失礼」と「不躾」の違い
「失礼」と「不躾」はどちらも態度が悪く人を不快にさせるような言動を意味します。
「失礼」と「不躾」の違いは「基準」です。
「失礼」の基準になっているのはそのような態度をとられた人です。
その人が不快に思ったり機嫌を損ねたりしたら「失礼」ですが他の人なら不快になるような言動であっても気持ちよく受け入れられれば「失礼」には当たりません。
「不躾」の基準になっているのはモラルやマナーなど世間一般で共有されている躾の程度です。
あらかじめ身につけておくべき躾がなっていないのが「不躾」なので人がどのような感想を持とうが正しいとされる躾にそぐわない振る舞いはすべて「不躾」に当たります。
「失礼」の例文
・『アポ無しで突然訪問するとは失礼にも程がある』
・『失礼な態度をとったために取引相手を怒らせてしまった』
「不躾」の例文
・『不躾な質問ですが、と先に断りを入れてから質問する』
・『不躾なお願いだったが気持よく対応してもらえた』
まとめ
「失礼」と「不躾」はとてもよく似た意味の言葉です。
ビジネスではどちらもよく使う表現ですがニュアンスには大きな違いがあります。
円滑なコミュニケーションを成功させるためにもふさわしい表現を選んでください。