「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の違いとは?分かりやすく解釈

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の違い生活・教育

この記事では、「借りてきた猫」【かりてきたねこ】と「猫をかぶる」【ねこをかぶる】の違いを分かりやすく説明していきます。

「借りてきた猫」とは?意味

ふだんは元気で活発的な人であるのに、ほとんど話さなくなってしまうことを「借りてきた猫」【かりてきたねこ】と言い表します。

いつもは自分の方から積極的に話して楽しむというのに、その日に限って人が来ているからとひどくあらたまった様子で下を向いたまま椅子に座ってしおらしくする人に当てはまる言葉になります。

とくに、初めて会う人には好印象を与えたいと思う人や、好意を持つ相手の前では清楚でお嬢様風な自分を演出するかのように、まったく性格も違う猫を借りて座らせたようにする様を表すわけです。


「猫をかぶる」とは?意味

自分の本性をひたすら隠すため、人前では大人しくする様を「猫をかぶる」【ねこをかぶる】と言います。

大人しくみせることで自分は人とうまく関係性を持てる協力的な者であると伝えたり、うまく付き合える人間だと態度で伝えるわけです。

もう一つの意味としては、本当は真実を知っているのに知らないふりする様を言い表します。

言葉の由来としては、普段は縄張り争いしたり、いきなり高い所へ飛ぶなどやんちゃな姿を見せますが、人前では気に入られようと可愛らしい姿を見せるという魂胆が見られます。


「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の違い

「借りてきた猫」「猫をかぶる」の違いを、分かりやすく解説します。

緊張したことで一言も話せないまま、いつの間にか自然とその場の静かな雰囲気に溶け込んで座っている状態の人を「借りてきた猫」と言い表します。

意識はしていないので、あたかも演技しているようには見えず、ごく自然に座ります。

一方の「猫をかぶる」は、意識して自分の方から大人しそうに見せるよう演技して周囲とあたかも同化しているように見せるときに使います。

少しわざとらしさを感じさせる表情や行動が見られるところがあり、人から見ると違和感を感じてしまう姿がまるで猫をかぶっているように見えるのです。

「借りてきた猫」の例文

・『いつもはバイクで暴走するやんちゃな兄が、親戚の前では借りてきた猫のようになってしまう』
子供の頃から可愛がってもらっている親戚の叔父さんや叔母さんにやんちゃな姿を見られるとかなり恥ずかしいと思う人は、服装もがらりと変えてじっと座ります。

・『職場では、大きな声で会話する先輩が美男子の前では借りてきた猫のようになるので驚く』
元気いっぱいの人も、相手によって急に物静かになる様がいつもとまったく違うところに驚くわけです。

「猫をかぶる」の例文

・『転校してきたときは猫をかぶった人だったのに、今ではクラスの盛り立て役と化す』
転校してきたときはあたかも静かにしていましたが、本当は元気な芸人のようにのりがいい人だったのです。

・『私の前だといたずらばかりしている妹も、親の前だと猫をかぶるのだからまいってしまう』
いたずらする妹が、親の前だと急に大人しい子猫のようになり、まんまとたぶらかすところにあきれてしまいます。

まとめ

周囲の状況によって計画的に大人しくするのと、ただ緊張してしまうことで言葉を発せない状況になってしまうため、いつもとはまったく違う人に見えてしまう状態を「猫」という動物に例えて言い表す日本人ならではの面白い言葉の使い方をご紹介しました。