同じような意味として使われがちな「蔑ろ」と「疎か」。
この2つの言葉にはどのような意味の違いがあるのか。
この記事では、「蔑ろ」と「疎か」の違いを分かりやすく説明していきます。
「蔑ろ」とは?
「蔑ろ」は、「ないがしろ」と読みます。
あるものをないもののようにすること、軽んじること、を意味する言葉です。
無いに等しいものとして取り扱う行為を意味し、侮り冷たくあしらうこと、といった意味もあります。
例えば、相手を無視する行為や相手の話をまともに聞かない行為、ものをいい加減に取り扱ったりする行為が「蔑ろ」です。
「蔑ろ」は、基本、わかっていながら行う行為であり、見えているものを見えていないと取り扱うことで、見えていなくて気付かなかったというものではありません。
あくまでも、自分の意志で行う行為です。
言い換えれば、「軽視」や「拒絶」、「横柄」、「小馬鹿」、「見下げ」などと同じです。
「蔑ろ」の使い方
「蔑ろ」は、「蔑ろにする」、「蔑ろにされる」、「蔑ろになる」、「蔑ろにできない」などといった形で用います。
「疎か」とは?
「疎か」は、「おろそか」と読みます。
いい加減に済ませること、軽く取り扱うこと、真面目に取り組まないこと、粗末、といった意味があります。
何かを行う際、いい加減で真面目に取り組まない様子を「疎か」と言います。
この場合、必ずしも悪気があって行っているとは限りません。
不注意などによって、自分の位置とは別にいい加減に済ませてしまうことも少なくありません。
言い換えれば、「気に留めず」や「無意識のまま」、「そっちのけ」、「お構いなし」などと同じです。
「疎か」の使い方
「疎か」は、「疎かにする」や「疎かになる」、「疎かにしない」、「疎かにしている」、「疎かになりがち」などといった形で用います。
「蔑ろ」と「疎か」の違い
「蔑ろ」も「疎か」も、軽んじること、いい加減にすること、といった意味では同じですが、「蔑ろ」の場合は、自分の意志で行っている行為で、「疎か」の場合は、自分の意志以外にも知らずしらずのうちにやってしまっているといった意味もあります。
その点に大きな違いがあります。
「蔑ろ」の例文
・『いつも、あの子は私のことを蔑ろにする』
・『今回の結果は、日々の練習を蔑ろにした結果だとコーチに言われた』
・『勉強を蔑ろにしてはいけないと親に言われ育ちました』
・『お菓子作りにおいて、計量を蔑ろにすると上手に作ることはできません』
「疎か」の例文
・『共働きだからと言って、決して家事や育児を疎かにはしていません』
・『夏休み中、ゲームに夢中の息子は勉強が疎かになりがちです』
・『水分補給を疎かにすると、熱中症になってしまいます』
・『仕事が疎かになっている部下を注意しました』
まとめ
同じような意味を持つ「蔑ろ」と「疎か」ですが、故意で行う行為なのか。
それとも、必ずしも故意ではない行為なのか。
といった違いがあります。