この記事では、「天を仰ぐ」と「空を仰ぐ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「天を仰ぐ」とは?
「天を仰ぐ」とは、人が頭を後ろに傾けた状態で、天頂を見る姿勢を指します。
また、人の心理状態が不安定である場合、「天を仰いで祈る、願う」という行動を取る様子を表します。
テレビなどで放送される、サッカーの試合中継。
ペナルティーキックのチャンスを得た選手が、狙い定めてシュートを放ちますが、惜しくも相手キーパーにゴールを阻まれます。
シュートを打った選手は両手で頭を抱えて、「そんな、なんてことだ」と「天を仰ぐ」行動を見せます。
その時、そのチームを応援するスタンドのサポーターたちも、全員同じポーズを取っています。
「空を仰ぐ」とは?
「空を仰ぐ」とは、「天を仰ぐ」と同様に、人が頭を後ろに傾けた状態で、頭上を見る姿勢を指します。
また、人の頭上には空があり、光があり闇があり、風があり雲があります。
そういった身近な自然現象は人々の暮らしに影響を与えていますので、人がそれを感じ、確認する場面で、「空を仰ぐ」行動を取ります。
「天を仰ぐ」と「空を仰ぐ」の違い
「天を仰ぐ」と「空を仰ぐ」の行動や様子としては、同じニュアンスになります。
違いとしては、その時の、“人の心理状態”があげられます。
例えば、思いもよらないことが起きた時、「天を仰ぐ」行動を取りながら、「何かの間違いであってほしい」と祈ります。
台風の警報が出され、「空を仰ぐ」行動を取りながら、徐々に荒れ始めた空の様子を伺います。
このように、見た目は同じ行動であっても、場面や心理状態によって「天を仰ぐ」と「空を仰ぐ」の言葉を使い分けられていることが分かります。
「天を仰ぐ」の例文
・『母の病の手術が執り行われている。居ても立っても居られず、天を仰ぎながら手を合わせた』
「母の手術が無事成功しますように」と、神様にお祈りするかのように天を仰ぎ、手を合わせる場面です。
人間の心理行動として、「希望、願い、成長」といった心理状態の時は、「天を仰ぐ」ことが多いです。
対して、「絶望、苦しみ、悔しさ」といった心理状態の時は、「うつむく」ことが多いです。
「空を仰ぐ」の例文
・『ひと仕事終えてふと空を仰ぎ見たら、きれいな夕焼け雲が広がっていた』
日々の暮らしの中では、仕事に追われ、身近な幸せに気付けなくなるものです。
ホッと一息ついた瞬間、頭上に広がる美しい光景に気付き、仕事をやり切った充実感と癒しの幸福感に満たされた場面です。
夕焼け雲の光景って、何故か懐かしさを感じます。
これは、幼い頃は仕事やストレスに苛まれることなく、身近な幸せや不思議に気付けていたからなのかも知れません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「天を仰ぐ」と「空を仰ぐ」は、行動としては同じニュアンスになりますが、その時の心理状態を表す意味合いを感じ取ることも出来ます。
「天」にも「空」にも、人が求める「何か」があるような気がします。
誰に教わったこともなく、心理状態によって「仰ぎ見る」行動を取る。
言葉と心理には密接な関りがあることが分かります。