この記事では、「静寂」と「沈黙」の違いを分かりやすく説明していきます。
「静寂」とは?
物音や声がせず、ひっそりとしていること、またそのさまです。
たとえば、これからフィギュアスケートの演技をします。
選手は非常に高い集中力が必要なので、観客は音を出してはいけません。
さあ、これから演技がはじまるというとき、会場はカタリとも、こそこそとも聞こえない状態になります。
このときのさまを意味する言葉です。
ただ音がしないだけでなく、厳かな雰囲気がある場合を特にいいます。
誰もいないときや、お祈りをしているときの教会もこのような状態になります。
話し声も物が出す音もせず、ひっそりとした状態です。
そこには厳かな雰囲気も流れています。
「静寂」の使い方
話す声も物が出す音もしないひっそりとした状態を指して使用します。
話さない、物の音を出さないといった意味ではなく、静かという意味で用いる語です。
「沈黙」とは?
「沈黙」には3つの意味があります。
1つめは、ものをいわないことです。
犯罪を疑われている人が、警察から取調べを受けています。
仲間に迷惑がかかることを心配して、疑われている人は何もいわず、何を聞かれてもまったく口を開こうとしません。
このさまを意味します。
どれくらいの長さ言葉を出さないのかは、意味に含まれていません。
2つめは、声を出したり、物の音を出したりしないこと、静かなことです。
夜の住宅街がこの状態になります。
日中は車や人の往来があり、住宅街には音がします。
夜になると車も人もほとんどいなくなり、音がしなくなります。
この状態を意味します。
3つめは、ある動きや働きをせずにいることです。
これまで活発に絵画の作成をしていた芸術家がいたとします。
あるとき、ぱったりと作品つくりをやめてしまいました。
引退したのではなく、活動を一時的にやっていないだけです。
こういった、じっとしている状態を指します。
絵画の作成はしていないけれど、彫刻の作成はしているという場合などは、この意味にはあてはまらず、動かないでい続ける状態を指します。
「沈黙」の使い方
ものをいわない、音を出さないという意味で使用されています。
「静寂」と「沈黙」の違い
2つの言葉は、音がしないという意味が似ています。
前者の場合、厳かな重々しく近寄りがたい雰囲気がある場合をいいますが、後者の場合はそういった雰囲気がない場合もいいます。
また、後者は音を出さないという意味もありますが、前者は音がないという意味で、音を出さないという意味ではありません。
「静寂」の例文
・『静寂に包まれる』
・『あたりに静寂が訪れる』
・『静寂に耐えられない』
・『静寂が苦手だ』
「沈黙」の例文
・『沈黙が続く』
・『沈黙を守り続ける』
・『あまりのことに沈黙してしまった』
・『長い沈黙の後に言葉を発する』
まとめ
音がしない静かな状態という意味が似ていますが、一方は重々しい雰囲気がある場合を指す点が、もう一方の言葉とは異なります。