利敵行為を受けた時によく用いられる言葉「恩を仇で返す」と「裏切り」には大きな違いがあります。
この記事では、「恩を仇で返す」と「裏切り」の違いを分かりやすく説明していきます。
「恩を仇で返す」とは?
慣用句であるため言い回しが限定的なものとなり、この単語の組み合わせで一つの意味を確立させた言葉であると言っていいでしょう。
「恩を仇で返す」この言葉の仇は「あた」と読み、「かたき」としては読まれません。
このため仇はあくまでもマイナス、恨みや害意を指し示した言葉になりプラス要因をもちません。
対義語としては「恩に報いる」が該当します。
「裏切り」とは?
裏切るの連用形、もしくはそれが名詞化したものが「裏切り」と言っていいでしょう。
「裏切り」者や「裏切り」行為などはその例です。
約束の様に互いに取り決めた内容、信義はそれを守り務め果たす事を反故にした時に使われる言葉です。
また期待の様にあてにしていた事象などを実現できなかった時にも使われてきました。
「恩を仇で返す」と「裏切り」の違い
前者は慣用句、連用形で名詞化する事の多い後者とは大きく違うところです。
言い回しを変えると意味が成立しません。
また有り難く思う行為を受けた者が害意、敵意をもってそれに応じる事と言っていいでしょう。
後者は悪の意味で使われる事が多いですが、善い意味でも使われる場合があります。
「恩を仇で返す」の例文
・『東軍の味方につく福島正則は太閤殿下から受けた「恩を仇で返した」も同然』
・『「恩を仇で返す」様な者には必ず因果応報の結末が待っているだろう』
当然ながら慣用句のため、基本的に言い回しは同じ意味合いで使われます。
このため「恩を仇で返す」にはどんな文脈になったとしてもプラスの意味合いで使われる事はありません。
「裏切り」の例文
・『城に向けて放った大筒の効果のほどは不明であったが、その爆音が期待を「裏切り」城の奥方衆の心を折る成果を挙げた』
・『信州上田の真田家に足止めされ、関ヶ原の合戦に遅れた中納言秀忠は大御所家康の期待を「裏切り」失望させた』
約束や信義などを反故にすると言った意味合いだけではなく、例文の様におもいがけない、思ったとは違った方向へ物事が推し進められた時にも「裏切り」は使用されます。
前者は良い意味での「裏切り」の使用例、後者は悪い意味での「裏切り」の使用例となりました。
まとめ
「恩を仇で返す」は慣用句のため、例文にあげたように言い回しを大きく事はできません。
その一方で「裏切り」は例文の様に後ろに名詞をつけて名詞化するなど多様な使い回しが可能です。
また恩に対する仇は明確な害意を指し示しており、善意の意味合いは籠める事ができません。
これに対して裏切りにかかる言葉には善悪両方の意味合いを持つ事が可能です。
このため例文の様によい意味でもわるい意味でも「裏切り」は使用できます。