この記事では、「標的器官」と「標的細胞」の違いを分かりやすく説明していきます。
「標的器官」とは?
「標的器官」とは、「内分泌系の生体ホルモンがターゲットにしている器官」を意味している医学的・生物学的な用語です。
人間の生理学的な機能は常に「ホメオスタシス(生体恒常性)」が維持されていますが、その役割を果たしているのが「内分泌系のホルモン」と「神経系の電気信号」なのです。
「標的器官」というのは、「内分泌器官から放出された各種の生体ホルモンを受け取る器官(特定の機能を果たす細胞の集合体)」のことを指し示しています。
代表的な人の内分泌器官としては、「膵臓のランゲルハンス島(β細胞)・下垂体(前葉と後葉)・副腎皮質・副腎髄質」などがあります。
例えば、膵臓のランゲルハンス島からは「インスリン」という血糖値を下げる整体ホルモンが放出されますが、インスリンは「肝臓・筋肉・腎臓・脳」などの「標的器官」に働きかけて、インスリン受容体と結合することで血糖値を下げる効果を発揮します。
「標的細胞」とは?
「標的細胞」とは、「内分泌系の生体ホルモンが働く標的器官を構成している細胞」を指しています。
あるいは、「ホルモンの特異的な受容体(レセプター)を備えている細胞」を意味している生物学的な言葉です。
人間が一定の生理学的状態を保つホメオスタシスは、「内分泌系の化学的情報伝達を担うホルモン」と「脳神経系の電気的情報伝達」に支えられています。
例えば、脳下垂体の前葉から放出される「副腎皮質刺激ホルモン・甲状腺刺激ホルモン・性腺刺激ホルモン」は、それぞれ「副腎皮質・甲状腺・性腺(卵巣・精巣)の標的器官」に作用します。
そして、そのホルモンのターゲット(標的)となっている標的器官を構成している一つ一つのアトミックな細胞のことを「標的細胞」と呼んでいるのです。
あるいは、特定の標的器官をつくらずにホルモンと結びつく受容体を備えている細胞のことを「標的細胞」といいます。
「標的細胞」にある受容体にホルモンが結合することで、「副腎皮質ホルモンの抗炎症・甲状腺ホルモンの代謝促進などの各種の作用」が実際に発現することになります。
「標的器官」と「標的細胞」の違い
「標的器官」と「標的細胞」の違いを、分かりやすく解説します。
「標的器官」と「標的細胞」は両方とも、「内分泌系の器官から出される生体ホルモンが作用する対象(ターゲット)」を意味しています。
ただし「標的器官」はその名前の通り、「脳・心臓・肝臓・腎臓などのホルモンが作用する器官」を意味しています。
例えば、副腎皮質刺激ホルモンが働く「標的器官」は「副腎皮質」であり、性腺ホルモンが働く「標的器官」は「生殖器」になります。
一方、「標的細胞」は「標的器官を構築している個別の細胞+生体ホルモンが直接的に作用する受容体を持っている細胞」を意味しているところが違っているのです。
まとめ
「標的器官」と「標的細胞」の違いについて説明しましたがいかがでしたか?「標的器官」と「標的細胞」の違いを詳しくリサーチしたい場合は、この記事の解説を参照してみてください。