この記事では、「猛獣」と「野獣」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「猛獣」と「野獣」の違い
「猛獣」とは、荒々しい性質の肉食動物のことです。
「野獣」とは、全身が毛でおおわれて4足で歩く、山野に住む動物のことです。
どちらの言葉も動物のことを意味していますが、どのような動物なのか意味が違います。
「猛獣」の場合は、荒々しい性質があり、動物は肉食です。
一方、「野獣」の場合は、性質については問わず、肉食か草食かも問わず、野生の哺乳類を指しています。
哺乳類の中でも、特に全身が毛でおおわれている4足歩行のものを指します。
サバンナなどに生育するライオンは、荒々しい性質のある肉食動物です。
そして、全身が毛でおおわれている4足歩行の野生の哺乳類です。
そのため、「猛獣」とも「野獣」ともいうことができます。
同じライオンという動物を指していても、ライオンのどこに注目しているのか、「猛獣」と「野獣」では違います。
「猛獣」の場合は、荒々しい性質と肉食という点に注目をしており、「野獣」の場合は野生の哺乳類という点に注目をしています。
動物園などで飼育されているライオンは野生ではないので、この場合は「野獣」ではありません。
「猛獣」と「野獣」の使い方の違い
荒々しい肉食動物のことを指して「猛獣」といいます。
全身が毛でおおわれている4足歩行の野生の哺乳類のことを指して「野獣」といいます。
「猛獣」と「野獣」の英語表記の違い
「猛獣」は英語で“fierce animal”や“predatory animal”と表現をします。
「野獣」は英語で“wild beast”と表現をします。
「猛獣」の意味
「猛獣」とは、荒々しい性質の肉食動物のことです。
肉食動物とは、動物の肉を常食する動物のことです。
ライオン、トラ、チーター、シャチ、オオカミなどがいます。
それらの中でも特に性質が荒々しいものを「猛獣」といいます。
肉も食べるし植物も食べる動物は、雑食動物といいます。
イノシシ、タヌキ、カルガモ、ホッキョクグマなどは雑食動物です。
動物園によっては、「猛獣コーナー」があり、そこではライオンやトラなどが飼育されています。
荒々しい性質があるため、来園者と檻との間にやや距離があります。
そして、来園者は触ることができません。
「猛獣」は、動物の性質や食性などを意味している言葉で、どこに住んでいるのかは意味に含まれていません。
そのため、野生のライオンのことも、動物園などで飼育されているライオンのことも「猛獣」といいます。
「猛獣」の使い方
荒々しい性質のある肉食の動物のことを指して使用します。
人間も動物の一種ですが、人間に対しては使わないことが一般的です。
また、「猛獣」は野生の動物にも、飼育下の動物にも使用できます。
「猛獣」を使った例文
・『飼育員が猛獣にエサを与える』
・『猛獣が間近にいるように感じられる映画』
・『猛獣の荒々しさを感じられる絵画』
・『猛獣の声が聞こえる』
「猛獣」の類語
「肉食獣」が類語です。
肉食性の動物という意味があります。
「猛獣」の対義語
「草食獣」が対義語です。
草食性の全身に毛の生えた4足歩行の哺乳類のことをいいます。
草食性の動物は、「猛獣」に比べると性質の荒々しさがありません。
「野獣」の意味
「野獣」には、野生に住む全身を毛でおおわれた4足歩行の哺乳類という意味があります。
野生という点を強調している言葉です。
全身を毛でおおわれた4足歩行の哺乳類には、イノシシ、タヌキ、キツネ、シマウマ、ニホンザルなど、さまざまな動物がいます。
さまざまいる野生で毛におおわれた動物の中でも、特に人間とかかわりがあるもの、人間を襲うようなものを「野獣」ということがあります。
また、野生の動物のような人のことを指して「野獣」ともいいます。
「野獣」の使い方
野生の動物のことを指して使用します。
野生の動物の中でも、特に全身が毛におおわれている4足歩行の哺乳類のことをいいます。
スズメやカラスなども野生の動物ですが、4足歩行でも哺乳類でもないため、「野獣」とはいわないことが一般的です。
荒々しく力強さを感じられる人のことを指して「野獣」ということもあります。
「野獣」を使った例文
・『野獣に気をつけてください』
・『野獣による畑の被害に困っている』
・『森で野獣に遭遇をしてビックリした』
・『舞台で野獣の役を演じる』
「野獣」の類語
「野生動物」が類語です。
山野で生育する動物のことです。
山野で生育しているものなら、哺乳類やそれ以外の動物のことも「野生動物」といいます。
「野獣」の対義語
「野獣」は野生であることを強調した言葉です。
野生でない動物のことは「飼育動物」といいます。
まとめ
どちらも動物のことを指した言葉ですが、「猛獣」は荒々しい性質と肉食であることを強調した言葉で、「野獣」は野生であることを強調した言葉で、意味が違います。