この記事では、「余韻」と「名残」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「余韻」と「名残」の違い
「余韻」と「名残」の違いは、その状況が完全に終了しているか、終了していないかといった違いとなります。
心に残るような状況が完全に終了しているものの、心や脳裏に残っている、影響を与えている状態を「余韻」と言い、心に残るような状況が完全に終了していないなか、外的に影響を残しているのが「名残」となります。
そのほか、「余韻」は風情や味わいを意味する言葉となり、「名残」は、気配や影響を意味する言葉といった違いもあります。
では、そんな、「余韻」と「名残」の違いについて、より詳しくご説明させて頂きます。
「余韻」と「名残」の使い方の違い
どちらも日常的に使用することが多い「余韻」と「名残」。
どちらも意味は、事柄や物事において、あとに残るものとなります。
そのうえで、意味合いが異なってくる「余韻」と「名残」。
その意味合いを踏まえ使い分けが必要な言葉となります。
まず、「余韻」の場合、事柄や物事において、あとに残ったものには風情や味わいがある際に用います。
また、「余韻」は、その事柄や物事が完全に終了している際に用いる言葉となるため、使い方としては、「コンサートの余韻に浸る」といったようにコンサートが終了した後も、その感動の気持ちのまま、しばらく時が過ぎていくといった意味合いで使用します。
一方、「名残」の場合は、事柄や物事において、あとに残る気配や影響を指す言葉となります。
また、「名残」は、その事柄や物事が完全に終了していない状態で用いられ、「名残惜しい気持ちでいっぱいです」といったように、今現在、一緒にいる人と別れることが寂しい、辛いといった際に用います。
「余韻」と「名残」の英語表記の違い
「余韻」は英語では、suggestiveness; lingering soundです。
「余韻を残す」は、And it leaves the reader with an allusive feeling. 「余韻のある詩」は、a suggestive poemとなります。
「名残」は英語では、holdover fromです。
「名残りの涙」は、tears at parting。
「お名残興行」は、a farewell performanceとなります。
「余韻」の意味
事柄や物事が完全に終了したあとに残る風情や味わいを意味する「余韻」。
基本的に事柄や物事が終了した後に用いる言葉となります。
また、「余韻」には、音が鳴り終わった後に残るかすかな音や響き、音が消えた後にもなお、耳に残る音や響きといった意味もあります。
このように、「余韻」には、あとに残る風情や味わいといった意味合いが強い言葉となります。
「余韻」の使い方
「余韻」の使い方としては、「余韻を楽しむ」、「余韻に浸る」、「余韻が残る」、「余韻がある」、「余韻を持たせる」、「ライブの余韻」など、その時の風情や味わいを楽しむ、残すなどといった使い方となります。
「余韻」を使った例文
・『子供の卒業式に感動し、しばらく、余韻に浸ってしまった。』
・『すばらしい映画を見た後は、しばらく余韻を味わいたい気持ちになる。』
・『クラッシックコンサートの後、余韻が残ったまま眠りにつくことができた。』
・『除夜の鐘の音の余韻が私は大好きです。』
「余韻」の類語
「余韻」の類語には、心にしみじみと思われるといった意味を持つ、風情や趣き、味わい、余韻など。
音が鳴った後、残る響きという意味としては、残響や反響、エコーなどがあります。
「余韻」の対義語
「余韻」の対義語はありません。
「名残」の意味
事柄や物事が完全に終了していない時に残る気配や影響を意味する「名残」。
完全に終了していない時に使用する言葉となりますが、事柄や物事が過ぎ去った後でも使用することができます。
また、「名残」には、人や物事などとの別れを惜しむ意味もあります。
このように、「名残」には、あとに残る気配や影響といった意味合いが強い言葉となります。
「名残」の使い方
「名残」の使い方としては、「名残惜しい」、「名残がある」、「名残を感じる」、「名残が残る」、「台風の名残」、「名残の品々」など、今なお、続いているものの気持ちが残ってしまうなどといった際に用いられることが多くなります。
「名残」を使った例文
・『卒業式のあと、友達との別れが名残惜しく、いつまでも教室に残っていた思い出があります。』
・『先日の台風の名残で庭は大変なことになっている。』
・『私は戦国時代の名残が残っているところに行くことが大好きです。』
・『亡くなった父の名残の品々を手放すことなどできません。』
「名残」の類語
「名残」の類語は、あることが周りに影響を与えるといった意味を持つ、影、片影、面影などとなります。
「名残」の対義語
「名残」の対義語はありません。
まとめ
以上が、「余韻」と「名残」の違いです。
「余韻」と「名残」は、そのあとに加えられる言葉も違ってくるため、使い分けも比較的、容易です。
迷った際は、事柄や物事が完全に終了しているのか、そして、残っているものが風情や味わいの場合は、「余韻」。
気配や影響の場合は、「名残」と覚えておくとわかりやすいです。